ナンニ・モレッティ「どうしても全てを語りたかった」『チネチッタで会いましょう』インタビュー

『チネチッタで会いましょう』11月22日公開

カンヌ・ヴェベチア・ベルリン3大映画祭を制し、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に8作品連続選出のナンニ・モレッティ監督最新作『チネチッタで会いましょう』が、11月22日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開。このたび、モレッティ監督、マルゲリータ・ブイらキャストによるインタビューが公開されました。

深い洞察力と独自のユーモアで日常と政治、そして人間の心を鮮やかに描き続け、イタリアのみならず世界中で愛されているナンニ・モレッティ監督。

 

3つの異なる時代が描かれ、語り口も異なることについて「要素が多すぎるとは思わなかったし、それに対しての恐れは全くなかった。どうしても全てを語りたかった」と妥協なしの表現術について語ります。

 

監督だけではなく主演もこなすことで有名ですが、今回も主演を自ら演じたことについては「主人公のジョヴァンニは、荒削りで気性が荒く、疑念が多い。観客として、または映画作家として50年前初めてスーパー8 で短編映画を撮った時の自分と彼は似ている。主役には自分が一番適していると思ったんだ」と自ら演じた映画監督ジョヴァンニと自身との共通点を語っています。

 

以前からモレッティ作品への出演を熱望していたマチュー・アマルリックは、「僕が 15~16 歳の頃、彼の映画に魅了されたんだ。ナンニからこのプロジェクトに参加しないかと誘われた時、彼の世界に足を踏み入れることができると思い、嬉しかったし驚いたよ」と青春時代を振り返り熱く語りました。

 

モレッティ作品への参加が2006年の『夫婦の危機』以来となるシルヴィオ・オルランドは「17 年間もナンニとは仕事をしていなかったので、この映画の中に自分が存在することが出来て、凄くいい気分だね」と喜びを口にしました。

 

モレッティ演じるジョヴァンニが撮る映画の主演女優役バルボラ・ボブローヴァは「オーディションを受け、私が選ばれたと聞いたとき、泣いてしまいました。私はナンニ・ファミリーに入ったんです!」と興奮気味に語ります。

 

モレッティ作品の常連であるマルゲリータ・ブイは「私は彼の作品の中では、最初は『ローマ法王の休日』で結婚して夫婦となり、『母よ、』では兄弟、そして今回は別れたので、次はどうなるのかな?」と、ユーモアを交えつつモレッティ作品へ称賛を送っています。

順風満帆が一転!痛い目に遭って大切な人に気づく

イタリアの映画監督ジャンニは、チネチッタ撮影所での新作撮影を目前に控えています。プロデューサーの妻が40年いつも傍にいて映画を制作してきました。頭の中は新しい映画のアイディアでいっぱいと順調だと思っていたのはジャンニだけでした!

 

女優はカサヴェテスを持ち出し演出に口出し、あろうことか政治映画をラブストーリーだと言い出す始末。若い俳優のトンチンカンな発言にはあきれ言葉を失います。娘が紹介してくれたボーイフレンドは自分ほどの年齢の男性だとのこと。あらゆることに腹がたち戸惑うばかり。

 

誰にも理解されず一人帰宅し目覚めると、妻に別れを告げられてしまいます。さらに仏のプロデューサーは詐欺師とわかり、資金が枯渇し撮影はストップ。地位も築き尊敬されていたはずなのに・・・。妻も娘も愛しているのに・・・。

 

果たして映画は完成するのか?そして、愛するものたちとの関係を修復することはできるのか?

 

まさにナンニ・モレッティ集大成とも言える『チネチッタで会いましょう』は11月22日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。

 

[作品情報]

『チネチッタで会いましょう』

原題:Il sol dell’avvenire

監督:ナンニ・モレッティ 

脚本:フランチェスカ・マルチャーノ、ナンニ・モレッティ、フェデリカ・ポントレモーリ、ヴァリア・サンテッラ 

音楽:フランコ・ピエルサンティ 

撮影:ミケーレ・ダッタナージオ 

出演:ナンニ・モレッティ、マルゲリータ・ブイ、シルヴィオ・オルランド、バルボラ・ボブローヴァ、マチュー・アマルリック

2023 年/イタリア・フランス/96 分/ヴィスタサイズ

日本語字幕:関口英子 

後援:イタリア大使館

特別協力:イタリア文化会館

配給:チャイルド・フィルム https://child-film.com/cinecitta 

© 2023 Sacher Film–Fandango–Le Pacte–France 3Cinéma