『チネチッタで会いましょう』東京国際映画祭トークイベント「モレッティが気づかせてくれる、大切なこと」

『チネチッタで会いましょう』11月22日公開

カンヌ・ヴェベチア・ベルリン3大映画祭を制し、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に8作品連続選出のナンニ・モレッティ監督最新作『チネチッタで会いましょう』が、11月22日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開。このたび、第37回東京国際映画祭でナンニ・モレッティ監督特集が組まれ、上映後に深田晃司監督、三島有紀子監督、岡本太郎によるトークイベントが開催されました。

『渕に立つ』が第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞するなど、日本のインディペンデント映画界を牽引する深田晃司監督は次のように語りました。

 

「モレッティ監督作品はとても好きですね。始めて衝撃を受けたのは『息子の部屋』なんですが、映画史上稀に見る美しいエンディングだと思いました。

自分にとってイタリア映画というのは特別で、凄いという感覚を持っているのですが、昨今のイタリア映画を見るとセンチメンタルだったりウェルメイドというイメージがあって。だけどフェリーニ監督作とか古典はどこかでドライだったり、それが現代のイタリア映画には無くなってしまっていたと感じていた時に、モレッティ監督の作品を観てこれだ!って思ったんです。ナンニ・モレッティの人間への距離感が現代的だから、いつまで経っても古びない。何かに従属してない映像って素晴らしいなと思いました」

 

『幼な子われらに生まれ』『Red』など各国で高い評価を受けている三島有紀子監督は、自身の最新作『一月の声に歓びを刻め』で登場人物にトト・モレッティという名前を使用するほどのモレッティアーノ。

 

「モレッティの映画は、存分に知的で人間的にクレイジーだけど魅力的で、明るい未来や希望を感じさせてくれる。本作では映画監督としてだけでなく人間としても傷ついた瞬間を切り取っているなと思いました。ダンスシーンは、誰かに見せるための踊りではなく、誰かと一緒にリズムを刻んでいくコミュニケーションとしての踊りですよね」とモレッティ作品について細かく分析。「モレッティは『自分は映画の力を信じている』と発言していましたが、私もそう思っています。『チネチッタで会いましょう』は幸福感に満ちた映画です」

 

イタリア映画祭の立ち上げに携わり、モレッティと交流もあるイタリア研究者の岡本太郎は、次のようにコメントしています。

 

「何回かお会いしていますが、エキセントリックで映画のままな人。モレッティの映画の面白さは、筋通りに観客を引っ張っていく手法ではなく、色んな矛盾や一言で説明できないことが沢山あるところ。迷うことが正しいという過程を描いているのです。シンプルに伝えたいけど伝えられなかったり、いろんな考えがあることは大事だと気づかされます。収まりきらないものを収まりきらずに見せることで世界の形を表現することができる」

順風満帆が一転!痛い目に遭って大切な人に気づく

イタリアの映画監督ジャンニは、チネチッタ撮影所での新作撮影を目前に控えています。プロデューサーの妻が40年いつも傍にいて映画を制作してきました。頭の中は新しい映画のアイディアでいっぱいと順調だと思っていたのはジャンニだけでした!

 

女優はカサヴェテスを持ち出し演出に口出し、あろうことか政治映画をラブストーリーだと言い出す始末。若い俳優のトンチンカンな発言にはあきれ言葉を失います。娘が紹介してくれたボーイフレンドは自分ほどの年齢の男性だとのこと。あらゆることに腹がたち戸惑うばかり。

 

誰にも理解されず一人帰宅し目覚めると、妻に別れを告げられてしまいます。さらに仏のプロデューサーは詐欺師とわかり、資金が枯渇し撮影はストップ。地位も築き尊敬されていたはずなのに・・・。妻も娘も愛しているのに・・・。

 

果たして映画は完成するのか?そして、愛するものたちとの関係を修復することはできるのか?

 

まさにナンニ・モレッティ集大成とも言える『チネチッタで会いましょう』は11月22日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。

 

[作品情報]

『チネチッタで会いましょう』

原題:Il sol dell’avvenire

監督:ナンニ・モレッティ 

脚本:フランチェスカ・マルチャーノ、ナンニ・モレッティ、フェデリカ・ポントレモーリ、ヴァリア・サンテッラ 

音楽:フランコ・ピエルサンティ 

撮影:ミケーレ・ダッタナージオ 

出演:ナンニ・モレッティ、マルゲリータ・ブイ、シルヴィオ・オルランド、バルボラ・ボブローヴァ、マチュー・アマルリック

2023 年/イタリア・フランス/96 分/ヴィスタサイズ

日本語字幕:関口英子 

後援:イタリア大使館

特別協力:イタリア文化会館

配給:チャイルド・フィルム https://child-film.com/cinecitta 

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