五島一浩、自らのライフマスクを複製・考察『映画かもしれない』で思うこと

五島一浩『映画かもしれない』9月28日まで

映像作家・五島一浩の展示会『映画かもしれない』が、9月28日(土)まで、東京・京橋のアートスペースキムラ ASK?にて開催中です。

今回のメインは、2階の『grained time vol.6 ふえる/きえる』。石膏で五島自らのライフマスクを取り、その複製を34回繰り返すことで、違う何かに表現を変えていきます。

 

たとえば、ディティールは失われていきますが、偶発的な傷やヒビなど新しい情報も追加されます。デジタル複製はいわゆる「ロスレス」が可能ですが、アナログではコピーを重ねていくことで、情報劣化が生じます。あるいは混入したノイズが表現を豊かにするということはあるかも知れません。

もっとも、私がこの作品を見てまっさきに思いついたのは、人の無常を表現した仏教絵画「九相図」。それぞれを映像のシークエンスと捉えれば、その間に何があったか観る者の脳のほうで補完する力が試されているような怖さがあります。

 

一方で、最後にできあがった「複製」は、人の外的側面のみを取り出す“ペルソナ”のよう。

 

とくに私が想像したのは、アフリカの“お面”。何か神聖なもののようでもあり、五島以外の顔で同様に複製を繰り返したら、似たようなマスクになるのだろうか・・・などと考えてしまいました。

そのほか、B1には、植物図鑑の古本から「影」としてメッセージを抽出する『FOREST 3D』、カメラオブスクラの解体と再発見『画家の不在』、コマのない「動く絵」の撮影/再生システム『これは映画ではないらしい』など、フィルムでもビデオでもない「映像作品」が展示されています。ぜひ五島が在廊するときに語り合いながら鑑賞いただければ。

[展示会情報]

『映画かもしれない 五島一浩 映像作品展』

2024年9月10日(火)~9月28日(土)11:30-19:00

※最終日17:00まで 

場所:アートスペースキムラ ASK?

〒104-0031東京都中央区京橋3-6-5木邑ビル2F/B1F

TEL/FAX 03-5524-0771

 

https://www.goshiman.com