『ACIDE/アシッド』公開中
死の酸性雨が降り出した世界を舞台に、極限状況に陥った人々の決死の脱出劇を描く極限サバイバル・スリラー『ACIDE/アシッド』がTOHO シネマズ シャンテ他で全国公開中。このたび、ジュスト・フィリッポ監督から日本の観客への動画メッセージとインタビューが届きました。
公開された日本の観客へメッセージ動画では、「フランスで日本映画が上映されているように、本作が日本上映されることに感謝を伝えたいです。そして日本や世界中の映画館が観客でにぎわい、感動体験を共有し、映画館を出るときにより強くなった自分や確かな手応えを与えてくれる。映画の価値を信じてください」と日本公開に対しての感謝と映画の力を語っています。
続けて「日本映画!フランス映画!世界中のすべての映画そして映画館にバンザイ!」とテンション高めに締めくくりました。
ジュスト・フィリッポ監督「『バトルロワイヤル』はフランスにおいて凄く重要な位置づけ」
さらに日本に向けた監督インタビューも公開されました。
主人公は、逃げる。それが、唯一のできること。酸性雨から世界を救う特別な力など持っていない。リアリズムを追求し、ハリウッド的な表現を避けたというジュスト・フィリッポ監督に、その意図や、本作のテーマとなった異常気象、また日本映画から受けた影響について次のように語っています。
自然災害といえば、いろんな事象がありますがなぜ「酸性雨」をテーマに選んだのでしょうか?
「雨というのはそもそも水ですが、「水」というテーマを「水のライフサイクル」と考えたときに、水はまず雨が降って、地面から蒸発して雲にそしてそれがまた雨となり川に戻っていく、そういった一連の流れがあるんですが、それを人間、あるいはさまざまな状況によって、そのライフサイクルが阻止されてしまったことによってもたらされる恐怖を描きたかったです。簡単には理解できないようなことが、危険につながるんだという怖さを描きたかったので、酸性雨をテーマにしました。参考にした事象などはたくさんありますが、まず身近に感じていることは、四季がなくなってきているということです。今このインタビューは、私の祖父母の建てた山小屋で受けているのですが、(※ZOOM形式インタビュー)山岳地帯で標高1500m 以上の高いところにいるんですが、周りの森林を散歩してみると、木々が壊れていくような音がしたり、昔は虫が たくさんいて蚊に刺されたりしましたが、虫が湧いたり、動いたり、増えてるようなあの感じが、今ではもうその山を歩いていても感じなくなり、虫が減ってきているなと感じています。そのようなことから異常気象ということを身近に感じています」
フランスのインタビューでハリウッド的な表現を避けたとおっしゃっていましたが、その意図を教えてください。
「ハリウッド的な表現を避けた意図というのは、アメリカ映画だと主人公を危険にさらして、最終的には守っていくということがあるんですが、主人公がアンチヒーローの場合でも同じで、アメリカ映画の場合、特にシリーズものですと、主人公の立場を守るというようなことがあるので、私はあえてそれとは逆のことをしたかったというのがあります。ハリウッド的なものとは違った、逆のアプローチをしたかったというのも私の試みでした」
ジャンル映画でも社会性を掛け合わせたような作品が日本でも多く作られてきています。日本のホラー作品などで好きな作品、影響を受けた監督などはいますか?
「私もそうですが、特にフランスではたくさんの日本映画に触れる機会があります。日本には素晴らしい監督が本当にたくさんいらっしゃるため、ここで全部はあげられないのですが、日本映画で最も影響受けた監督は、黒澤明監督ですね。そして深作欣二監督の『バトル・ロワイヤル』は、私に本当に大きな影響を与えてくれました。『バトル・ロワイヤル』は、フランスにおいてすごく重要な位置づけの映画になるのですが、この映画はアクション映画でありながら、同時に社会問題や思春期といったもの、それから暴力的な現代社会を表現することもできていて、あらゆるジャンルを混ぜたような映画で、すごく重要な作品だと思います。そして、河瀬直美監督も影響を受けた方の1人です。他にもたくさんいるんですが、その辺りが非常に影響を受けた方や作品です」
想像を絶する死の雨から逃げられるか?
本作は、第76回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門やシッチェス・カタロニア国際映画祭に出品され、2024年セザール賞視覚効果賞にノミネートされた黙示録的な衝撃作。人、家、街、すべてを溶かしていく超高濃度酸性雨が降り出した世界を舞台に、極限状況に陥った人々のこの世の終わりからの脱出劇を描きます。
異常な猛暑に見舞われたフランスの上空に不気味な雲が出現。それは、南米に壊滅的な被害をもたらした酸性雨を降らせる危険な雲でした。
北部の地方都市に住む中年男性ミシャルと元妻エリースは、寄宿学校に預けていた十代の娘セルマをからくも救出するも、あらゆるものを焼き尽くすように溶かす強酸の雨は、容赦なく大勢の市民の命を奪っていきます・・・。
フランス全土が大混乱に陥るなか、安全な避難場所を探し求めてあてどなく歩き続ける親子の行く手には、凄まじい群衆パニックと、あらゆるものを溶かす高濃度酸性雨のさらなる恐怖が待ち受けていて・・・。
『ACIDE/アシッド』は、TOHO シネマズ シャンテ他で全国公開中。
[作品情報]
『ACIDE/アシッド』
原題:ACIDE
監督・脚本:ジュスト・フィリッポ
ギヨーム・カネ、レティシア・ドッシュ、ペイシェンス・ミュンヘンバッハ
2023年/フランス/100分/フランス語/4K/シネスコ/カラー/5.1ch
日本語字幕:星加久実
配給:ロングライド
公式サイト:longride.jp/acide/
© BONNE PIOCHE CINÉMA, PATHÉ FILMS, FRANCE 3 CINEMA, CANÉO FILMS ‒ 2023
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