“生きもの目線”の自然写真家・今森光彦のライフワーク集「今森光彦 にっぽんの里山」展

「今森光彦 にっぽんの里山」9月29日まで

自然と人との関わりを美しい写真や映像と親しみやすい文章で伝えつづける自然写真家・今森光彦のライフワークともいえる展示会「今森光彦 にっぽんの里山」が、9月29日まで、東京写真美術館で開催中です。本稿では、6月19日に開催されたプレス内覧会の模様をお届けします。

「里山」シリーズ最新展となる本展では、今森が30年以上に亘り撮影してきた琵琶湖周辺から始まり、日本中の里山を取材するという新たなテーマのもと、約20年の歳月をかけて全国200ヶ所以上を撮影した中から厳選された約190点が展示されています。

 

幼い頃から昆虫の生態と美しさに魅了された今森は、昆虫目線で自然環境を取材して撮影し、1992年から雑誌で「里山物語」の連載を開始しました。本展示会では、琵琶湖周辺から始まり日本全国の里山を四季別に厳選、写真作品179点、スライドショー114点を紹介しています。

第一章 春

全国各地の春の風景や生きもの、人々の暮らしを紹介する約60点が展示されています。

第二章 夏

夏の柴胡畑、ゲンジボタルの光の群れ、夕立、群れ飛ぶアサギマダラといった全国各地の夏の風景約40点で構成。今森の父の郷里にとってはそのときの記憶を呼び覚ますような内容となっています。

第三章 秋

秋の章では、沖縄の本島から南下した八重山群島を紹介。二十歳を過ぎてから秋が楽しみになったという今森が、熱帯から迷い込んでくる蝶を狙って旅したといいます。

第四章 冬

この章では、幻想的な阿蘇の野焼き、赤牛の世話をする人、田んぼを飛翔するマガンとアオサギ、群れ飛ぶウミネコなど、寒い中にも不思議と人や生きものの気配を感じさせる約40点で構成されています。

人がいてこその「里山」

2010年に名古屋で開催されたCOP10を契機に「SATOYAMAイニシアティブ」として国際的な枠組みになりました。

 

しかし今森らは、そのずっと前から、人の暮らしている同じ場所に生きものが一緒にいる空間をすべて「里山」と捉えて取材していました。人と自然が共存し、生物多様性の恵みが継続的に存在する場所が「里山」なのです。

 

それは今森の「生きもの目線」のカットの数々に表れていると言えるでしょう。

「今森光彦 にっぽんの里山」は、東京都写真美術館で、9月29日(日)まで開催。

 

[展示概要]

「今森光彦 にっぽんの里山」

期間:9月29日(日)まで ※月曜休館

時間:10時〜18時(木・金は20時まで、7月18日〜8月30日の木・金は21時まで)

場所:東京写真美術館 2階展示室

東京都目黒区三田 1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内

主催:公益財団法人東京都歴史文化財団東京都写真美術館

協賛:(株)ニコン (株)ニコンイメージングジャパン 東京都写真美術館支援会員