塚本晋也監督「街の小さな映画館」第18回、地元のおばあちゃんと友だちになっちゃう『シネマ尾道』

「街の小さな映画館」第18回『シネマ尾道』

塚本晋也監督自らが撮影・編集・YouTubeアップロードまで行い、ミニシアターの魅力を伝える動画「街の小さな映画館」企画の第18回『シネマ尾道』が公開されました。

シネマ尾道は、広島県尾道市唯一の映画館。尾道市は小津安二郎監督の『東京物語』や大林宣彦監督の「尾道三部作」(『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』)を生んだほか、新藤兼人監督の出身地でもあります。

 

2001年に「尾道松竹」が閉館したことで、一度は尾道市から映画館の灯が消えることになりましたが、尾道出身の河本清順が「映画の街に映画館を復興させたい」との思いで市民からの募金を集め、2008年に旧「尾道松竹」を改装オープンさせました。

 

大林監督が20年ぶりに尾道を舞台に撮影し、遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』を彷彿とさせる海辺の映画館です。

 

 塚本監督『野火』の先行上映時には、はじめて大林監督と塚本監督のトークを企画し実現させました。

 

このたび公開された動画では、手づくりのディスプレイの数々、シネマ・クレール石関と水戸リードシネマから譲り受けた座席、秘密基地のような階段、尾道の海などを辿っています。

 

インタビューでは、支配人の河本が地域のコミュニティスペースとしての意義、お客様同士のエピソード、この街で映画の歴史を紡いでいく決意などを語っています。

 

塚本監督は次のようにコメントしています。

 

「尾道の魅力的な街並みの突端、駅のすぐ近くの古い建物にシネマ尾道のかわいい文字が見えます。

駅から降りて、海にも近い劇場を眺めると晴れ晴れした気持ちになります。

伺うときは街並みやお寺など近所を散策します。そして劇場も古い映画館の味わいが残されたまま。

大林宣彦監督とお互いの映画を見せ合い対談をした思い出の場所でもあります。

今も運ばれてくる海からの風にそよがれてひっそり建っているシネマ尾道を思うと、柔らかい気持ちになります」

「街の小さな映画館」とは?

「街の小さな映画館」は、塚本晋也監督が2015年『野火』初公開時に全国劇場行脚して個性あふれるミニシアターの魅力に触れたことでできあがった企画。コロナ禍をきっかけに「未曾有の事態の中格闘していらっしゃるミニシアターにエールを送らせていただきたい」との思いから始まりました。

 

お世話になっている映画館を1館ずつ訪れ、ミニシアターの魅力を伝えるために、劇場とのアポ取りから撮影・編集・YouTube へのアップまで塚本監督自身が単独で行い、ロゴとイラストも描きおろしています。

 

[シネマ尾道]

広島県尾道市東御所町 6-2

TEL:0848-24-8222

http://cinemaonomichi.com/

座席数: 112 席