『Shirley シャーリイ』7月5日公開
奇才ジョセフィン・デッカーの初⻑編『Butter on the Latch』(2013)に惚れ込んだマーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りをあげ、2020年サンダンス映画祭USドラマ部門審査員特別賞を受賞した⻑編第4作『Shirley シャーリイ』が7月5日(金)公開。このたび、小説の中に入り込んだような映像美で捉えた本編特別映像と、ジョセフィン・デッカー監督のインタビューテキストが公開されました。
公開された本編特別映像は、ともに暮らすようになったものの気難しいシャーリイとの距離感を測りかねていたローズが、ある日、シャーリイの書斎を訪れるシーン。
実はシャーリイも、ローズと対峙することで執筆のインスピレーションを得ていました。
全く違う境遇の2人が出会い対話することで、徐々に影響を与え合う・・・自身が破壊されることで、再構築、出発へ向かう2人のはじまりの瞬間の瞬間を、まるでシャーリイ・ジャクスンの小説の中に入り込んだような幻想的な映像美で映し出しています。
ジョセフィン・デッカー監督は、次のようにコメントしています。
「シャーリイ・ジャクスンの小説のように感じさせたかった。シャーリイの心の中の世界は外の世界と分かちがたいように作られているんです。つまり、いくつもの層が折り重なっている。ナプキンが落ちて、スプーンがフォークになったり、それが幽霊になったり。(そのため)全てを現実的にするのではなく、謎の部分は謎のまま残した。映画が、シャーリイの心の中と同じくらいミステリアスなものになるよう、今まで得てきた映画の知識を超えた未体験の領域で映画を作ってきた」
また、脚本を手がけたサラ・ガビンズについても次のようにコメントしています。
「さまざまな世界が同居するすばらしい脚本を書いてくれた。シャーリイの家の世界は外の世界とまるで違う。(特にシャーリイとその夫スタンリーのユニークな関係性の描写について)劇中の2人にはウィットや相互依存、“人を操って喜ぶ”という特徴があって、それが私たちの物語を醸成させていった。現実世界のシャーリイとスタンリーは、とても開かれた関係でありながら、心をむしばみ合う関係でもあったんです。だからある意味、脚本のサラが書いた物語は虐待の過程を描いたもので、いかに自己破壊が成功を装っているのかを示した物語でもある」
シャーリイとローズ、自分の心身をケアできないほど自身の仕事に没入し過ぎてしまう2人の姿をあげて次のように観る者に問いかけます。
「これは成⻑途中の小説家(シャーリイ)に、成⻑途中の主婦(ローズ)に当てはまる。引っ越してきたローズとシャーリイは影響を与え合い、破壊し合い、再構築し合い、創造し合い、脱却し合う。2人は互いの強迫観念を糧にしている。どのように崩壊していき、その崩壊を本当の自分への足がかりにするのか?」
風変わりな作家シャーリイと若い巻き込まれ夫婦
1948年、『ニューヨーカー』誌上に発表した短編「くじ」が一大センセーションを巻き起こした後、新しい⻑編小説に取り組んでいたシャーリイ (エリザベス・モス)でしたが、なかなかスランプから抜け出せずにいました。
小説の題材になったのは、ベニントン大学に通う18歳の少女・ポーラが突如として消息を絶った未解決の失踪事件。同じくベニントン大学教授である夫のスタンリー・ハイマン(マイケル・スタールバーグ)は、引きこもってばかりいるシャーリイの機嫌をとって執筆へ向かわせようとするもうまくいきません。
そんな2人のもとへ一組の夫妻が居候としてやってきます。文学部でハイマンの補佐として職を得たフレッド(ローガン・ラーマン)は、妻のローズ(オデッサ・ヤング)と共にバーモント州の学園都市へ移住を計画。新居が見つかるまでの間、無料で部屋と食事を提供する代わりに家事や妻の世話をしてほしいとスタンリーに半ば強引に言いくるめられた夫妻は、何も知らずにシャーリイとスタンリーと共同生活を送ることに。
当初は他人が家に上がり込むことを毛嫌いしていたシャーリイでしたが、ひどい扱いを受けても懲りずに自分の世話を焼くローズを通じて、次第に執筆のインスピレーションを得るように。一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性に魅入られ、いつしか2人の間には奇妙な絆が芽生えていきます。
しかし、この風変わりな家に深入りしてしまった若々しい夫妻は、やがて自分たちの愛の限界を試されることになるのでした......。
『Shirley シャーリイ』は、7月5日(金)公開。
[作品情報]
『Shirley シャーリイ』
原題:Shirley
監督:ジョセフィン・デッカー
脚本:サラ・ガビンズ
原作:スーザン・スカーフ・メレル(『Shirley』未邦訳)
撮影:シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
美術:スー・チャン
編集:デヴィッド・バーカー
衣装:アメラ・バクシッチ
音楽:タマール=カリ
音楽監:ブルース・ギルバート、ローレン・マリー・ミカス
キャスティング:ケリー・バーデン、ポール・シュニー
キャスト:エリザベス・モス(『ハースメル』『透明人間』『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』)/マイケル・スタールバーグ(『ボーンズ アンド オール』『君の名前で僕を呼ん で』)/ローガン・ラーマン(『ブレット・トレイン』『ウォールフラワー』/オデッサ・ヤング『帰らない日曜日』『グッバイ、リチャード!』)
2019年|アメリカ|英語|107 分|アメリカン・ビスタ|字幕翻訳:橋本裕充
© 2018 LAMF Shirley Inc. All Rights Reserved
配給・宣伝:サンリスフィルム
【公式サイト】 https://senlisfilms.jp/shirley
【公式 X】https://twitter.com/shirleymovie_jp
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