池松壮亮、「奥山大史監督はリアリティの中にファンタジーを載せている」『ぼくのお日さま』カンヌでレッドカーペット

『ぼくのお日さま』9月公開

史上最年少で第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史監督の長編2作目『ぼくのお日さま』が9月公開。このたび、第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品され、5月19日に公式上映、舞台挨拶が行われました。

(C) KAZUKO WAKAYAMA

第77回カンヌ国際映画祭(フランス現地日程5月14日〜5月25日)での公式上映はフランス現地時間5月19日(日)14時にドビュッシー劇場で行われ、監督の奥山大史、キャストの池松壮亮、越山敬達、中⻄希亜良、主題歌のハンバート ハンバート佐藤良成が登壇しました。

 

本作は、今年のカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション部門で唯一の日本作品。奥山監督は満席となった1,200席の観客に次のように語りかけました。

 

「この作品はドビュッシーの”月の光”が繰り返し流れる映画なので、こうしてドビュッシー劇場でワールドプレミア上映されることを本当に光栄に思っています」

 

企画段階から奥山監督を支え、コーチ荒川役として出演する池松壮亮は「カンヌ映画祭に感謝します。楽しんでいってください」と挨拶。

 

4月に15歳になり撮影時から12cm以上も身⻑が伸びたタクヤ役の越山敬達は、初の海外旅行がカンヌ国際映画祭となり「はい。1200人の皆様、集まっていただきありがとうございます!最後まで楽しんでいって くださいっ」とそれに続きます。

 

6月に13歳になる中⻄希亜良は流暢なフランス語で「みなさん、こんにちは。来てくれてありがとうございます。楽しんでください」と挨拶しました。

 

エンドロールのあとには拍手喝采と「ブラボー」という声援にスタンディングオベーションが約8分間続き、最初に越山が涙をみせると、中⻄も涙をみせました。

 

ワールドプレミアでの興奮が続くなか、一行はレッドカーペットへ。

 

奥山監督、池松、越山の3人は「ベルルッティ」のお揃いのタキシード、ヒロインの中⻄は「セリーヌ」の今シーズンの秋冬ミニドレスを着用。レッドカーペット後は囲み取材に参加しました。

 

公式上映後の観客からの反応について奥山監督は「温かい反応を頂けて、まずは安心しています。嬉しかったというよりも、一安心という気持ちが大きいですね」 と述べ、レッドカーペットについては「公式上映とはまた違う、ずっと見ていたカンヌの文化に触れさせて頂いたので、フラットに楽しめた」と笑顔を見せ、キャストの3人らも揃って「夢のような舞台だった、また来たい」と声を揃えました。

 

公式上映後エンドロールから涙が止まらなかった越山は、その理由を次のように述べました。

 

「撮影中『こういうこと言われたな』とか、『こういうふうに撮影したな』とかエンドロールに流れる本作の主題歌を聴きながら思い出しました。台本を渡してもらえなくて、物語がわからないまま撮影がスタートしたが、初めての主演映画だったので、どれだけ自分の自然の形で撮影を楽しめるかということに重点をおいてやっていました」

 

奥山監督について質問を受けた池松は「自分でカメラを持って撮影される方なので、奥山さんの視点が、自分たち俳優にちゃんとフォーカスが合っている」「目と耳が素晴らしくいいと思います」「本人も映画もスケールが大きい。映画をもってどんどん世界と対峙してくれると思います」と絶賛しました。

 

カンヌでの刺激を元にこれからどういう未来を描きたいか?という質問に対して越山は「またこういう舞台に立たせて頂きたい。先日、人生初の生牡蠣をカンヌで食べて、とても美味しかったので、またカンヌに食べに来たい!」と周囲の笑いを誘い、中⻄も照れながら「すべてが幸せなので、またこういうすごい場所に来れたらな、と思います」と素直な感想を述べました。

 

今の時代をどう切り取るかや問題解決の提示する作品がどうしても多くなる傾向にある映画祭という場所、そして「今の時代に向き合うということをどう考えているのか?」という問いに対しては、奥山監督は次のようにコメントしています。

 

「あくまで自分はそれだけを重視するわけではなく、自分が描きたいものを描き、その上で、例えば「『これは多様性を描いているね』と言ってくれたらそれは嬉しい」

 

一方の池松は次のようにコメントしています。

 

「リアリティの中にもファンタジーの中にも、現実を語る力っていうのは実はちゃんとどちらもあって」「どちらに向けるのか、どう直接的に語るのか、それともファンタジーに包んで語るのかの違いだと思う」「この映画も非常に残酷な部分も映っているし、奥山監督はリアリティの中にファンタジーを載せることがとても上手で、そのことを諦めていない」だから「本作は、より観客を選ばないし、この映画を見てもらえるのではないかなと期待してます」

 

第77回カンヌ国際映画祭は、是枝裕和監督がコンペティション部門の審査員として参加することでも話題になってお り、「ある視点」部門は、俳優で監督のグザヴィエ・ドランが審査員⻑を務めることでも注目されています。本作は、「ある視点」部門 の最優秀作品賞、審査員賞、監督賞などの対象となり、これまで同部門では黒沢清監督が2008年に『トウキョウソナタ』で審査員賞を、2015年に『岸辺の旅』で監督賞を、2016年には深田晃司監督が『淵に立つ』で審査員賞を受賞していますが、最優秀作品賞を受賞すると日本史上初の快挙となります。授賞式は5月24日に行われます。

池松演じるコーチが愛のキューピットに

吃音をもつホッケー少年・タクヤ(越山敬達)は、「月の光」に合わせフィギュアスケートを練習する少女・さくら(中⻄希亜良)の姿に心奪われます。ある日、さくらのコーチ荒川(池松壮亮)は、ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似て何度も転ぶタクヤを見つけます。タクヤの恋の応援をしたくなった荒川はスケート靴を貸してあげ、タクヤの練習をつきあうことに。しばらくして荒川の提案から、タクヤとさくらはペアでアイスダンスの練習をはじめることになり......。

 

映画『ぼくのお日さま』は、9月テアトル新宿、TOHO シネマズシャンテ ほかで全国公開。

 

[作品情報]

『ぼくのお日さま』

監督・撮影・脚本・編集:奥山大史 

出演:越山敬達、中⻄希亜良、池松壮亮、若葉⻯也、山田真歩、潤浩ほか

主題歌:ハンバート ハンバート

配給:東京テアトル 

© 2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 

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公式 Instagram @bokuno_ohisama