「日本映画と音楽 1950年代から1960年代の作曲家たち」5月25日より
日本の映画産業黄金期の映画音楽に焦点を当てた上映企画「日本映画と音楽 1950年代から1960年代の作曲家たち」が、東京・京橋の国立映画アーカイブで、5月25日(土)より開催されます。

作曲家たちにとって、映画のために音楽を書き下ろす仕事は自らの創作意欲を実践に移すための貴重な機会で、演奏会用作品とはまた一味違った魅力に溢れています。
今年は、團伊玖磨、眞鍋理一郎、斎藤高順といった日本映画に深く関わった作曲家たちが相次いで生誕100年を迎えます。戦後にデビューした作曲家グループ「3人の会」( 團・ 芥川也寸志・黛敏郎)をはじめ、1950年代から60年代にかけて輝かしい足跡を残した作曲家たちが音楽を担当した計61作品(52プログラム)を通じて、彼らの貢献と功績が顕彰されます。
日本映画黄金期の音楽に着目した初の大規模上映
1950年代から60年代は、戦後日本映画の黄金時代であるとともに、戦後日本音楽の黄金期でもあります。そのため、気鋭の作曲家たちは映画の仕事に積極的に携わることとなりました。とりわけ、團伊玖磨、芥川也寸志、 黛敏郎によって結成された「3人の会」は、音楽界にとどまらない華やかな活動によって記憶されています。
本企画では、芥川也寸志の力強い音楽が魅力的な『花嫁の蜂 チョゴリザ』(1959年、構成 伊勢長之助)や、『地獄変』 (1969年、豊田四郎監督)をはじめ、團伊玖磨が手掛けたドキュメンタリー作品『メソポタミア』 (1957年、構成 桑野茂)、黛敏郎の前衛志向が顕著な『赤線地帯』(1956年、溝口健二監督)などを厳選し、3人による映画の仕事を回顧します。
また、生誕100年を迎える斎藤高順の映画音楽デビュー作『東京物語』(1953年、小津安二郎監督)や、上映機会の稀なアニメーション作品『黒い木こりと白い木こり』(1956年、薮下泰司監督)などを上映。
同じく生誕100年の眞鍋理一郎は、川島雄三とのコンビ作品である『暖簾』(1958年、川島雄三監督)他の2作品が上映されます。


多様なバックグラウンドを持った作曲家たちによる幅広いラインナップ
本企画では、クラシック音楽からポピュラー音楽までさまざまなバックグラウンドを持った作曲家たちの仕事が取り上げられています。
映画の音楽の質的向上に尽力した「映画音楽の開拓者」として、成瀬巳喜男とのコンビで知られる斎藤一郎『驟雨』(成瀬巳喜男監督、1956年)や、後進への強い影響力を持つ伊福部昭による『コタンの口笛』(成瀬巳喜男監督、1959年)が上映されます。
さらには、父の小杉勇が監督と出演を兼ね、息子の小杉太一郎が音楽を担当した『地獄の波止場』(1956年)、映画の分野で音楽賞を数多く受賞した松村禎三の代表作『地の群れ』(熊井啓監督、1970年)、クラシッ ク音楽界を代表する作曲家のひとりである矢代秋雄の希少な映画作品集、「マジンガーZ」などのアニメ作品で知られる渡辺宙明の『亡霊怪猫屋敷』(中川信夫監督、1958年)など、計25人の作曲家たちによるさまざまな音楽技法が駆使された作品群がラインナップされています。


開催中の展覧会と連動 さらに当館初の試みとなる演奏会も!
展示室で開催中の展覧会「日本映画と音楽 1950年代から1960年代の作曲家たち」では、貴重な自筆譜や製作資料を通じて作曲家たちの活動を深く味わえます。
黛敏郎が音楽を手掛けた『君も出世ができる』(須川栄三監督、1964年)のポスターや『地の群れ』の自筆譜など、上映作品に関連したさまざまな資料を展示することで、視覚的にも堪能できるように構成されています。
さらに初の試みとして、5月25日(土)に当館上映ホールを会場とした演奏会「映画音楽がやって来た!『日本映画と音楽』特別演奏会」も開催。5月25日(土) 15:00開演で、黄金時代の映画を彩った音楽で構成された、バラエティに富むプログラムに期待です。
[開催概要]
「日本映画と音楽――1950年代から1960年代の作曲家たち」 (英題:Japanese Cinema and Music: Composers in the 1950s and 1960s)
会期:5月25日(土)―7月28日(日)
※月曜休館 会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/japanese-cinema-and-music202404
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
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