「映画化は期待を優に超えていた」『ニューヨーク・オールド・アパートメント』原作者インタビュー

『ニューヨーク・オールド・アパートメント』1月12日公開

最優秀作品賞・監督賞・女優賞ら9冠を受賞し欧米映画祭を席巻、NYの片隅に生きる母と息子たちを優しい眼差しで描いた感動作『ニューヨーク・オールド・アパートメント』が1月12日(金) より新宿シネマカリテほかで全国公開。このたび、原作者アーノン・グランバーグのオフィシャルインタビューが届きました。

この映画は、ユダヤ人移民の家族で育ち、母親が強制収容所アウシュヴィッツの生存者だったオランダ人ベストセラー作家アーノン・グランバーグの小説「De heilige Antonio」が原作。アーノンは次のように明かします。

 

「1997年にオランダで発表した私の小説「De heilige Antonio」(英題:SAINT ANTONIO /『聖なるアントニオ』)は、70万1000部が出版されました。本作は私の経験や、ニューヨークの小さなイタリアン・レストランでウエイターをしていた時の観察に基づいています。それから15年後、マーク・ウィルキンスから連絡がありました。宅配をして稼ぐ2人のメキシコ人の少年、彼らの母親、ヨーロッパから移住してきた作家といった登場人物たちの運命的な引き寄せに関する物語を、彼はドイツ語で読んだそうです。彼は私の小説を映画化したいと言ってくれて、私は 彼の人となりに好感を持ち、何も期待せず、映画の詳細も聞かずに「イエス」と答えました」

 

できあがった作品の感想を次のようにコメントしています。

 

「ウィルキンスによる映画化は、期待をゆうに超えていました。編集途中のバージョンを鑑賞したとき、私は感動しました。泣けて、笑えて、私の作品の精神に忠実で、ユーモアにあふれ、哀愁が漂い、ニューヨークを愛しつつ理想化しすぎることなく、芸術や人生における不可解な残酷さを描いた映画でした」

 

アーノン自身も本作のラストシーンでラマと自撮りする歩行者役で出演しており、「タイムズ・スクエアでエキストラを経験したことも誇りに思っています」と撮影を振り返っています。

日陰者の移民が生きる意味を見いだしていく…

日陰で生きることしか出来なかったぼくらを照らした、ひとすじの愛…安定した生活を夢見て祖国ペルーを捨てNYで不法移民として暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら二人の息子を女手一つで育て、息子たちも配達員として家計を支えるギリギリの毎日。

 

街から疎外された自分を“透明人間”と憂う二人の息子は、ある日、謎を秘めた美しい女性クリスティンと出会い、恋に落ちます。一方母ラファエラも白人男性からの耳触りのいい話に誘われ飲食店を開業しますが…。

 

アメリカン・ドリームを夢見る母と年頃のピュアな息子たち。そんな“大都会弱者”である貧しい移民家族に訪れた悲劇。日陰で生きる「何者でもなかった」彼らが恋をして、大切な何かに気づき、はじめて「自分」として生きる意味を見出していきます。

 

貧しくも懸命に生きる姿をリアルな息遣いが感じられるNYでの大胆なロケとウィットに富んだ詩的な映像美で紡ぎ出し、観る者の心を掴んで離しません。

 

『ニューヨーク・オールド・アパートメント』は、1月12日(金) 全国公開。

 

[作品情報]

『ニューヨーク・オールド・アパートメント』

原題: The Saint Of The Impossible

監督:マーク・ウィルキンス

脚本:ラ二・レイン・フェルタム

原作:「De heilige Antonio」(アーノン・グランバーグ)

出演:マガリ・ソリエル、アドリアーノ・デュラン、マルチェロ・デュラン、タラ・サラー、サイモン・ケザー

2020 年/スイス/英語、スペイン語/98 分/ビスタ/5.1ch

配給・宣伝:百道浜ピクチャーズ

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