アキ・カウリスマキ『枯れ葉』12月15日公開
2017年に引退宣言をしたアキ・カウリスマキ監督最新作『枯れ葉』が、12月15日(金)よりユーロスペースほかで全国公開。このたび、主演を務めたアルマ・ポウスティが初来日し、松重豊のトークショー付き先行上映が行われました。
カウリスマキ監督の『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』にオマージュを捧げたリーゼントスタイルで登場した松重は、「僕は自分が出ている映画の舞台挨拶にも行かない方ですが、アキ・カウリスマキ監督の作品ならば髪の毛をおっ立てても出たいと思った。とにかく大ファンで御座います」と熱弁すると、アルマはその髪型に「ファンタスティック!」と大笑い。
「引退すると言った人がもう一度作るというのは日本でもあることですが、よくぞ戻って来ていただいたと思った。そしてどんなテイストになるのかと思ったら、『パラダイスの夕暮れ』、『真夜中の虹』、『マッチ工場の少女』のいわゆる労働者三部作に連なるものだった。しかもアルマさんがカティ・オウティネンを上回る演技をされていて…魅了されました」と松重は絶賛。
一方のアルマは「引退撤回を一番驚いているのはアキ監督自身だと思います。意欲的に盛り上がり、脚本も指が勝手に動いて書いた結果、労働者3部作に連なる4作目が生まれたそうです。そして監督業に戻ってきただ
けではなく、私たちのような新しい俳優を迎え入れて作ってくれたのも素晴らしいことだと思います」と述べました。
松重はアキ・カウリスマキの魅力について次のように熱弁します。
「世の中がわかりやすい作品を要求している中で、それとは逆行している作風ではあるけれど、81分という短い中に物語が凝縮されている。そこに置かれた役者の表現力は問われるものです。言葉で説明したり過剰な演技をしたりすることなく、一瞬一瞬の表現に満ち溢れている空間がアキ・カウリスマキ監督の作品。そこに触れることで僕らの信じる表現が世界のどこかにはまだあるぞと思わせてくれる」
松重が脚本の分量について質問すると、アルマは次のようにコメントしています。
「確かに、私の人生の中で出会った一番短いページ数の脚本でした。でも珠玉の一冊であり、素晴らしい文学であり詩的で、慎重に選ばれた言葉が使われています。アキは沈黙の巨匠。一行のスーパースターだと思います。ちょっとした言葉にそのキャラクターの性格やヒントが散りばめられていて、足すことも引くこともできない。まさにピュアで正直な脚本。でもひとつだけ書かれていなかったのはウインクのシーン。あれは、撮影のときにアキが『やってくれ』と言ったんです」
松重が監督から具体的にどんな演出や指示があるのか訪ねられたアルマは、次のようにコメントしています。
「セリフは覚えるべきだが、読みすぎず練習や稽古はするなと言われました。そして撮影は基本的にワンテイクで終わります。俳優としてはとても怖いことですが、唯一のオンリーワンの瞬間がフィルムに焼き付けられます。それは二度と出来ないもの。すべてがワンチャンス。そして、アキはカメラを覗いて、すべての配置を自分で動いて決めて、準備が揃うとカメラの横でアクション!と声をかける。モニターチェックも一切しません。なぜならば何が撮れているのかを把握しているからです」
逆にアルマが松重に日本でもワンテイクで撮影する監督はいるか問われた松重は次のようにコメントしています。
「北野武さんなんかはそうです。テストというか、もう回していこうか…みたいな感じです。テストを重ねて固まっていく芝居もあるけれど、一回しかできないものを切り取って映画が出来上がる方が僕はいい。究極的なことをいうと、ドキュメンタリーに近いものになればいいと思っている」
松重はアキ・カウリスマキ監督作への出演も熱望!
「もしそんなチャンスがあるならば、旅費から何から全部出してでも行きます。セリフなしだっていい!バーのウェイター役でも何でもいいから!」
ふたりのささやかな幸せは、運命、現実に翻弄
作品の舞台は、北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いています。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合います。だが不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざけます。果たしてふたりは無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのでしょうか...?
『枯れ葉』は12月15日(金)よりユーロスペースほかで全国公開。
[作品情報]
『枯れ葉』
原題『KUOLLEET LEHDET』/英語題『FALLEN LEAVES』
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:アルマ・ポウスティ(『TOVE/トーベ』)、ユッシ・ヴァタネン(『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』)、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ
2023年/フィンランド・ドイツ/81 分/1.85:1/ドルビー・デジタル 5.1ch/DCP/フィンランド語
配給:ユーロスペース
提供:ユーロスペース、キングレコード
公式サイト:kareha-movie.com 公式SNSX:eurospace_d Instagram:@eurospace_distribution
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