『ファースト・カウ』12月22日公開
現代アメリカ映画の最重要作家と評され世界中で最も評価されている監督のひとり、ケリー・ライカート監督の『First Cow』(原題)が、邦題を『ファースト・カウ』として、12月22日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかで全国公開されます。
ライカート監督は、1964年フロリダ州マイアミ生まれ。1994年『リバー・オブ・グラス』でデビュー後⻑らく、日本で彼女の作品を観られる機会は限られていましたが、2021年ケリー・ライカート監督特集上映が行われると作品性の高さから異例の満席回が続出、大きな話題に。
『ファースト・カウ』は世界の映画祭でお披露目されるやいなやたちまち絶賛の声が上がり、第70回ベルリン国際映画祭金熊賞にノミネートされたほか、世界中の映画祭で計157部門ノミネート、27部門を受賞。
映画人からの評価も高く、『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督は「私には決して真似のできないものであって、とてつもなく、うらやましい」と、その才能を羨望。他にもジム・ジャームッシュ、トッド・ヘインズ、濱口⻯介ら世界の名だたる監督たちも本作を称賛してい
ます。
本国配給を行なったのはA24。今年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞を席巻、作家ファーストでありながらオスカー常連で大ヒット作を続々と世に送り出し続けていますが、今回がライカート監督との初タッグです。
アメリカの原風景に夢を求める2人の青年
舞台は⻄部開拓時代のオレゴン州。アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移⺠のキング・ルーの2人は自然と意気投合し、やがてある大胆な計画を思いつきます。それは、この地に初めてやってきた “富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うという、甘い甘いビジネスでした!
原作は、これまでケリー・ライカート作品の脚本を多数手がけてきたジョナサン・レイモンドの小説「The Half-Life」(2004)。男同士の友情を描いた物語に監督が惚れ込み、映画化を熱望、⻑年の構想期間を経てついに実現しました。
冒頭には詩人ウィリアム・ブレイクの言葉「鳥には巣、クモには網、人間には友情」が引用され、ドーナツ作りを通して2人の男の間に少しずつ友情が芽生えていく過程を美しく描いています。
豊かな自然息づく原風景を切り取ったアメリカンカルチャーを体現した映像美と心地よい音楽が、2人の友情の物語を彩ります。
『ファースト・カウ』は、12月22日(金)全国公開。
[作品情報]
『ファースト・カウ』
原題:『First Cow』
監督・脚本: ケリー・ライカート 脚本:ジョナサン・レイモンド 出演:ジョン・マガロ、オリオン・リー、トビー・ジョーンズ
配給:東京テアトル、ロングライド