隈研吾、「他の巨匠との一番の違いは女性に対するスタンス」『アアルト』

アルヴァ・アアルトのドキュメンタリー映画『アアルト』10月13日公開

フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトの人生と作品を巡るドキュメンタリー映画『アアルト』が10月13日に劇場公開。このたび、伊東豊雄、隈研吾ら著名人による応援コメントが到着しました。

「アアルトの違いは、女性に対するスタンス…尊敬や優しさにある」

建築家伊東豊雄は次のようにコメントしています。

 

「私は56年前、初めての海外旅行でアルヴァ・アアルトの建築を見るためにヘルシンキやユヴァスキュラを訪れた。美しい森林の中から出現するアアルトの作品は、雲のように私を柔らかく包み込んでくれた。二人の妻との生活を通して浮かび上がってくるアルヴァの人間としての優しさや温かさが、彼の作品を生む源泉であることをこの映画は美しく描いている」

 

インテリアスタイリスト石井佳苗は次のように感想を綴ります。

 

「アアルトデザインのパイミオを初めてみた時の衝撃は忘れない。唯一無二の有機的な曲線、合板で作られ、病を癒す患者の為と知り感動を覚えた記憶がある。この映画は、空撮によるダイナミックな建築の姿、それを取り巻く森も映し出し、建築とは人と自然の間で育まれるものと教えてくれる。家具も同じアプローチだ。妻アイノとの手紙のやり取りは、アルテックのアートディレクターである前に妻という人間味溢れる感情のほとばしりを垣間見ることができる」

 

建築家の乾久美子は次のように称賛しています。

 

「なにより最近の建築ドキュメンタリーがいいのは、ドローンをつかった空撮で、思わぬ角度から名作を味わうことができる点だろう。パイミオのサナトリウム、ムーラッツァロの実験住宅など、フィンランドの美しい環境との調和が素晴らしい。有名なタイルを使ったプレキャストコンクリート板の製造シーンなども貴重!」

 

建築家隈研吾は次のように感想を述べました。

 

「モダニズム建築の巨匠と呼ばれるコルビュジエ、ミース、ライトと、アアルトの一番の違いは女性に対するスタンスではないかと、僕はうすうすと感じていた。コルビュジエ達は、一言でいえばマッチョであり、女性に対して抑圧的である。それが原因になって様々のトラブルもかかえた。しかしアアルトのその妻アイノに対する尊敬、やさしさを、この映画で思い知った。それが、彼のデザインのやさしさとつながっているのである」

 

テキスタイルデザイナーの島塚絵里は次のように感想を語ります。

 

「小さな人間という視点から設計し、それが街になり、社会の発展につながるという哲学に触れ、アアルト建築の魅力がすとんと腑に落ちました。また、生涯をかけた仕事は、時を超えて語り継がれる壮大なプロジェクトであり、アイノとエリッサの存在が必要不可欠でした。アアルト建築が今までと少し違って見えるような気がします」

 

建築家の田根剛は、次のようにコメントしています。

 

「建築家もひとりの人間であり、ある時代を生き抜いた人間としてのアアルト。この映画では、深い森のフィンランドからアメリカで脚光を浴び、好奇心、才能、挑戦、理想、信仰、苦悩までのアアルトの旅路を描き、アアルトとアイノとの深い愛と情と慈しみの言葉は、冬の温かな暖炉のように心の奥に大切な火を灯してくれる」

アイノからの切実な手紙に、アナタはきっと涙する

10月5日(木)には、アイノとアルヴァ、2人の手紙のやりとりをその孫であるヘイッキ・アアルトが編集した書籍「アイノとアルヴァ アアルト書簡集」(草思社)の発売も決定。

 

近年アイノが果たした役割への再評価が進む中、40年にも及ぶ二人の人生、そして関係がどのようなものであったのかを、実際の手紙から濃密にうかがい知ることができる貴重な資料となっています。

アルヴァ・アアルト生誕125周年記念作品

本作品は、フィンランドが生んだ世界的建築家でデザイナーのアルヴァ・アアルト(1898-1976)が、来年2023年に生誕125年を迎えることを記念して公開されるもの。

 

彼の人生と生み出した作品を巡るドキュメンタリーであり、アルヴァと同じ建築家であった妻のアイノとの濃密な愛の物語であるとともに、アアルト夫妻が世界中を股にかけながら創造していく過程とその伝説をどのように作り上げていったかを、まるで観客が博覧会ツアーに参加しているかのようにみせていく独創的な作品となっています。

 

手掛けたのは、⻑年アルヴァ・アアルトの映画を撮りたいと考えていたフィンランドの女性監督ヴィルピ・ スータリ。北欧を代表する建築家でデザイナーのアルヴァ・アアルトは、どのような人生を歩んできたのか。どのようにして最初の妻であるアイノと出会い、2人で数々の傑作を生み出していったのか。彼らの手紙のやり取りを通して、これまで明かされてこなかった2人の関係を余すところなく描きます。

 

もちろん、彼らがてがけた建築や、アルテックの家具やイッタラの食器といった後世に残る名作の誕生秘話も必見です。

 

『アアルト』は10月13日劇場公開。

 

[作品情報]

『アアルト』

原題:AALTO

監督:ヴィルピ・スータリ(Virpi Suutari)

制作:2020年 

配給:ドマ 

宣伝:VALERIA 

後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター 

協力:アルテック、イッタラ 

2020年/フィンランド/103分

(C)FI 2020 - Euphoria Film 

公式 HP:aaltofilm.com