『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』10月6日公開
オペラ最高傑作「ラ・ボエーム」を大胆にアレンジ、新たなミュージカルとして描く『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』が、10月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー公開。このたび、レイン・レトマー監督のオフィシャルインタビューが到着しました。
ビジュアル・アーティスト、オペラ監督としても活躍してきたレイン・レトマーの監督デビュー作となった本作。コロナ禍によって舞台上映の機会が奪われるなか、オペラの映画化に挑むことになったのだそう。
「映画監督はオペラの舞台とは違う神経を使います。難しさはありましたが刺激的でとても楽しかったです。カメラの前で演じることに慣れていない人たちを率いての演出だったので、そこも非常にチャレンジングなポイントでした。舞台上とは違うスタミナが要されるんですよね。観客がそこに居ない、観客からのエネルギーをもらえない中で、自分のスイッチをオンにしたりオフにしたりしないといけないので、そういった難しさを自分が演出家としてリードしていかないといけないので、一つの新たな挑戦となりました」
『ラ・ボエーム』を題材に選んだ理由については次のように語りました。
「私が初めて演出した舞台がプッチーニの『ラ・ボエーム』で、自分にとって重要な作品だからです。音楽が圧倒的で、心を揺さぶり心身にも染みこむ作品だと思います。そして、若い芸術家たちがアートと素直な心でもって自分たちの道を切り拓いていこうとする様がドラマ的で、プッチーニの圧倒的な音楽がそこに加わる凄い作品です」
コロナ禍の下で行われた撮影ならではのエピソードも。
「コニーアイランドや、数多くの映画に使われているノム・ワー・ティー・パーラーという伝説的なロケ地など、パンデミックが無ければ絶対に撮影できなかった様々なロケ地で撮影できてラッキーでした。一方で、ニューヨークではパンデミック中はアジアに対するヘイトが起きたので、こういうにっちもさっちもいかない状況では、人間の嫌な部分が出てくるというのも、根底に流れるテーマの一つとして映画に描きました。例えば、ロケ地のグラフィティ(落書き)にアジアンヘイト的なものが書かれているところを映していたり、(アジア人が演じる)ミミとロドルフと街ですれ違っていく白人が二人を押す場面もアジアンヘイトを示唆しています」
オペラを映像化することについて意識した点は、次のように明かします。
「今回は舞台ではなく、せっかくカメラで捉えることができるわけですから、よりニュアンスを細かく捉えていこうと思いました。鍵を探すシーンでは、ミミの表情がどうなっているのか、彼女の表情を捉えて、彼女が何を感じてどうしているのかということを、より細かく捉えていこうと。カメラでこそ捉えられる真理というのがあると思うので、そこを意識して脚色しています」
NYを生きる若き4人の芸術家たちの苦悩
本作は、オペラ最高傑作「ラ・ボエーム」の設定を1830年代のパリから現代のニューヨークに置き換え、メインキャラクターにアジア人を据えるなどの大胆なアレンジのもと、これまでにないまったく新しいミュージカル映画として生まれ変わらせました。格差、貧困、マイノリティ、さまざまな生きづらさを抱えながらも夢と情熱で青春の日々を謳歌しようとする若き芸術家たちや恋人たちの姿を、現役のオペラシンガーたちによる圧倒的な歌唱と独創的な映像美で情感豊かに魅せます。
舞台は大晦日のニューヨーク。凍える寒さの屋根裏部屋で、その日暮らしの夢見る4人の芸術家たち。その中の一人、詩人のロドルフォが部屋に残っていると、隣人のミミが彼の火を借りにやって来て、2人はたちまち恋に落ちます。同じころ、店で仲間と新年パーティーをしていたマルチェッロは、偶然やってきた元恋人ムゼッタと再会。最初は戸惑いつつも、2人の間にはかつての強い愛が蘇るのでした。運命的な出会いを果たした、ミミは重い病に侵され、ロドルフォはそんな彼女のもとを立ち去ります。同じころ、ムゼッタとマルチェッロも嫉妬心から別れを迎えていました。すれ違う2組の恋人たち。そしてそれぞれ別の道を選んでいくのですが…。
どんな苦境にも前を向き、儚くも情熱的な日々を懸命に生きる若者たちの青春群像劇は、パンデミックという底知れぬ不安を経験し、その影響でひろがった格差や貧困の余波に身を置く私たちに今だからこそ響きます。
『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』は、10月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー公開。
[作品情報]
『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』
原題:『La bohème: A New York Love Song』
監督:レイン・レトマー
作曲:ジャコモ・プッチーニ
音楽監督:ショーン・ケリー
製作:モアザンミュージカル(長谷川留美子)
出演:ビジョー・チャン、シャン・ズウェン、ラリサ・マルティネス、ルイス・アレハンドロ・オロスコ、井上秀則、アンソニー・ロス・コスタンツォ、イ・ヤン
2022年/香港・アメリカ/スコープサイズ/96 分/カラー/伊語/5.1ch
日本語字幕翻訳:古田由紀子
配給:フラニー&Co. シネメディア リュミエール/映倫区分G
公式サイト:la-boheme.jp
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