「どんな年齢、性別の人と観ても楽しめる映画」『こいびとのみつけかた』完成披露試写会

『こいびとのみつけかた』10月27日公開

『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前田弘二と脚本・高田亮が贈る「おかしな二人の物語」第二弾『こいびとのみつけかた』が、10月27日(金)より、新宿シネマカリテほかで全国公開されます。このたび、完成披露試写会が行われ、出演者とスタッフが舞台挨拶しました。

主演の倉悠貴、ヒロインの芋生悠、共演の成田凌、前田弘二監督が上映前の舞台に登壇。

 

成田が主演を務めた『まともじゃないのは君も一緒』に続いて、前田監督と脚本家の高田亮のコンビによる本作ですが、企画の成り立ちについて前田監督は次のように明かします。

 

「『まとも――』の初号試写を見て、(成田さんと)『もう1回やりたいね』と盛り上がって、ちょっとメロドラマな静かな空気で、変わり者の2人の話ができないか? というところから始まりました」

 

『まとも――』にも出演していた倉は本作で主人公のトワを演じましたが、前田監督からのオファーについて次のようにコメント。

 

「前田さんから『どうしても撮りたい映画があるんだ。倉くんにピッタリだと思うんだよね』とおっしゃっていただいて、そんな熱量をいただけると思っていなくて、脚本を読んだら面白くて『ぜひお願いします!』と言いました」

 

それに成田も応じ、「倉が主演と聞いて、自分もテンションが上がって、勝手に嬉しかったのを覚えています」と明かします。

 

ヒロインの園子を演じた芋生は、故郷の熊本の復興チャリティイベントを通じて前田監督と面識があったそうで、オファーを次のように振り返ります。

 

「(監督の)映画が好きだったし、前田さんも好きだったので嬉しかったです」

 

倉と芋生は初共演。倉さんが「ゆるかったですよね、雰囲気が(笑)」と述懐すると、芋生も「 2人のシーンがひたすら楽しかったです」と笑顔を見せます。

 

成田も現場の様子について同意見の様子。

 

「監督が柔らかい方なので、現場はほっこりするし、しかも主演が倉となると、それは優しい、優しい空間だなと。ほこほこした気持ちでいました。素晴らしい空気感でした。『良いもの見ているな』という感じでした」

 

前田監督は、今回のキャストについて絶賛。

 

「理想のキャスティングでした。トワと園子の話ですけど、この2人なら間違いないと思ってお願いしたら、想像以上に素敵でした」

 

劇中、トワと園子がそれぞれピアノの弾き語りを披露するシーンがありますが、実際に倉、芋生が練習を重ねて本番でも自ら演奏&歌唱し、一発OKが出たそう。

 

芋生は「曲が良いんですよね」と頷くと、倉は歌詞についても「一見シュールですけど、芯を食っていて、メッセージ性があります」と語り「グッとくるシーンになっています」と自信をのぞかせました。

 

改めて、本作で描かれる、“変わり者”の登場人物たちの人間模様や、メッセージについて前田監督は次のように語りました。

 

「『こいびとのみつけかた』とあるように、恋の話ではあるけど、母性の話でもあるなと思ったし、つらい現実からの逃避の話でもあると思います。世の中、おかしなことばかり起きていて、つらい現実に対してとかいろんなメッセージが詰まってて『いま撮らなきゃダメだな』と思い『どうしても撮りたい』とプロデューサーに頭下げて撮りました」

 

成田も次のように感想を語ります。

 

「監督も高田さんも、いろんなこと考えるなぁ...というのが率直なところです。こんなことばっかり考えて、生きているんだなと(笑)。(トワと園子は)変わり者の2人かもしれませんが、倉くんはわりと普段から変わっているので (笑)、すごくなじんでたと思います。変わり者を演じようとすると限界があると思うけど、浮かずになじんでいて素晴らしかったと思います」

 

そんな倉の変わり者エピソードとして成田は次のように明かします。

 

「2人で鉄板焼きを食ったんですよ。(鉄板焼きは)自分のテリトリーがあるじゃないですか? 先輩(成田さん)が一生懸命、もやしとかを作っていたんですけど、しゃべりながら普通に(倉が)俺のテリトリーから食べ始めて...。これは変わってますよね? 先輩が大切に育てていたもやしを...。これは僕がなめられているのか(笑)?」

 

最後にこれから映画を観る観客を前に前田監督は次のように訴えました。

 

「この映画が、みなさんのガス抜き、厳しい日常の中での筆休みになってくれたら」

 

成田も次のようにコメント。

 

「つらいことがあっても毎日は進んでいくわけで、変わっていても変わってなくても、毎日、同じ時間があるんだなと思います。単純に、いま思っているのは、みなさん、いまからこの映画を観られるのが羨ましいなと。素敵な映画ができましたんで、ぜひ楽しんでください」

 

芋生は次のようにコメントしました。

 

「夫婦とはこうあるべきとか、友達や恋人はこうあるべきとか、そういう形にとらわれず、生きづらさを感じている人たちが、自由にいろんな形を変えて、人と関わることができたらいいなと思いますし、その当事者を取り巻く周りの人たちの目線がもっと温かくなってくれたら良いなと思っています。そういうことが感じられる映画になっていると思います」

 

そして倉は、次のようにアピールしました。

 

「僕にとって、この映画は宝物のような映画になりました。自信をもって素敵な作品と言えます! 誰と観ても、どんな年齢、性別の人とでも楽しめる映画です。観終わった後、温かい気持ちで帰れることを望んでいます」

浮世離れしたピュアなラブストーリー

本作品は、世の中に馴染めない、ちょっぴりエキセントリックな2人が繰り広げる、〈可笑しくピュア〉なラブストーリー。

 

植木屋で働き、いつも雑誌の切り抜きをポケットに詰め込んで、一人で妄想している変わり者のトワ。彼は、コンビニで働く園子に恋をします。なんとか彼女と話したいと思ったトワは、コンビニの前から木の葉を並べて彼女をおびき寄せようとします。周りは当然、そんな幼稚な方法でくるわけがないとからかうのですが、彼女はその木の葉の道を辿って、トワの元へやってきます。

 

「あの……そちらお名前は?」

 

園子もまた、廃工場に暮らして奇妙な生き物の彫刻をたくさん作っている風変わりな女でした。周りに溶け込めない2人は仲を深め、現実から逃れるように2人だけの世界を作っていきます。しかし園子は、いつまでもトワと同じ世界には一緒にいられない、ある秘密がありました…。

 

『こいびとのみつけかた』は、10月27日(金)、新宿シネマカリテほかで全国公開。

 

[作品情報]

『こいびとのみつけかた』

監督:前田弘二 

脚本:高田亮  

音楽:モリコネン

出演:倉悠貴 芋生悠 / 川瀬陽太 奥野瑛太 高田里穂 松井愛莉 並木愛枝 小沢まゆ / 成田凌 宇野祥平

2023年/日本/99分/5.1ch/スタンダード 

©JOKER FILMS INC.  

http://koimitsu.com

制作プロダクション:ジョーカーフィルムズ、ポトフ 

企画・製作・配給:ジョーカーフィルムズ