ヴェネチアでスタンディングオベーション!終後の絶望、怒り、哀しみ…塚本晋也監督『ほかげ』予告編

『ほかげ』11月25日全国公開

塚本晋也監督の最新作『ほかげ』が、11月25日(土)よりユーロスペースほかで全国公開。このたび、第80回ヴェネチア国際映画祭に、塚本晋也監督、塚尾桜雅、森山未來が参加しました。

9月5日(現地時間)に『ほかげ』のレッドカーペット、公式上映、記者会見、フォトコールが行われ、ワールドプ レミアを迎えました。エンドロールに差し掛かると約8分間のスタンディングオベーションが起こりました。

 

上映後には、観客とのQ&Aの場が設けられました。

 

塚本監督は「まずは、ありがとうございました!grazie!」と感無量の表情。作品について尋ねられると次のように祈りにも似た気持ちを語りました。

 

「今回の『ほかげ』は、実際に戦争に行った人だけではなく、戦争のせいで恐ろしい目に遭った一般の人たちの目を通した物語です。僕自身は歳を取ったので召集されることはないでしょうが、もし今後、戦争に行くとなったら若い人たちです。そういったことが起きないようにという願いを込めて制作しました」

 

森山は、次のように挨拶しました。

 

「塚本監督の映画はどれも力強い作品だと感銘を受けていたので、今回、作品に参加させていただけるということを光栄に思っています」

 

また、初めての海外映画祭への参加となった塚尾は、一生懸命覚えたというイタリア語で挨拶して会場を沸かせました。

 

「「Mi chiamo OGA. Ho 8 anni. Piacere!(僕の名前は桜雅です。8歳です。はじめまして!)」

 

上映を終え、塚本監督は次のように感想を語りました。

 

「実は、『ほかげ』は、僕自身がとっても好きな映画にできたんです。また、今回、このような大きなスクリーンで上映できて嬉しかったですし、お客さまが皆、息を詰め、集中して観てくださっていて、観終わった後に、祈りの思いが伝わったという感触を非常に強く感じられました。とても嬉しいです」

 

森山は、次のようにコメントしました。

 

「ヨーロッパの映画祭に参加したのは僕自身初めて。ヴェネチア国際映画祭という場所にこの作品で来られて、本当に光栄です。監督の込めた祈りやエネルギーがこれからどういう風に観客に届いていくのだろうと楽しみでもあります」

 

塚尾は次のように素直に語りました。

 

「自分が出ている映画を多くの方が観てくれていると思うと、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです!」

 

ヴェネチア国際映画祭には9度目の参加となる塚本監督ですが、Q&Aに立ち会うのは今回が初めて。

 

「お客さまが的確で実感のこもった質問をしてくれたので、想像以上に大事なことを伝えられた気がします。今の世の中の不安とか、戦争に近付いてきているということを伝えられたし、皆さんが真剣に聞いてくださったので、とても良い時間になりました」

塚本晋也監督戦争三部作の最終章

戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』(14)、太平の世が揺らぎ始めた幕末を舞台に生と暴力の本質に迫った『斬、』(18)、その流れを汲み、戦争を民衆の目線で描き、戦争に近づく現代の世相に問うのが本作です。

 

主演は、2023年後期NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロインに抜擢され、今最も活躍が期待されている俳優、趣里。孤独と喪失を纏いながらも、期せずして出会った戦争孤児との関係にほのかな光を見出す様を、繊細かつ大胆に演じ、戦争に翻弄されたひとりの女を見事に表現しています。

 

片腕が動かない謎の男を演じるのは、映像、舞台、ダンスとジャンルにとらわれない表現者・森山未來。飄々としながらも奥底に蠢く怒りや悲しみを、唯一無二の存在感で示しています。

 

主演の趣里が演じる女と交流を深めていく戦争孤児を、『ラーゲリより愛を込めて』や大河ドラマ「青天を衝け」に出演している子役・塚尾桜雅。一度見たら忘れられないその瞳で物語をより深く豊かに彩ります。

 

復員した若い兵士役に、PFFグランプリ受賞作品『J005311』の監督でもある河野宏紀。さらに、映画監督、俳優としても活躍する利重剛、大森立嗣が脇を固めます。

 

 

『ほかげ』は11月25日(土)よりユーロスペースほかで全国公開。

[作品情報]

『ほかげ』

出演:趣里、森山未來 

監督:塚本晋也

製作:海獣シアター 

配給:新日本映画社

2023年/日本/95 分/ビスタ/5.1ch/カラー

©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

公式サイト:hokage-movie.com

公式 X:@hokage_movie 

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