美しい伝統技術の承継、真の自分を隠し生きる人々を描く『青いカフタンの仕立て屋』本編映像

『青いカフタンの仕立て屋』6月16日公開

2022年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞した『青いカフタンの仕立て屋』が6月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開されます。このたび、手刺繍を施すカフタン職人の伝統技術溢れる本編映像が公開されました。

カフタンとは、結婚式や宗教行事などフォーマルな席に欠かせない伝統 衣装で、コードや飾りボタンなどで華やかに刺繍されたオーダーメイドの 高級品。母から娘へと受け継がれる着物のような存在ですが、安価で手 早く仕上がるミシン刺繍が普及した現在、手間暇かかる手刺繍をほどこすカフタン職人は貴重な存在となっています。

 

この度公開された本編映像は、仕立て屋ハリムが滑らかなペトロールブルーのシルク地に刺繍を施す繊細な手仕事のシーン。ため息が出るほど艶やかなカフタンドレスを紡ぐ仕立て職人の指先にレンズを向け、撮影監督と入念に官能的な映像を作り上げています。

 

トゥザニ監督は本作で、消えゆく伝統工芸の美しさを伝える一方で、男性の生きづらさを生むタブーに踏み込み、前作以上に挑発的なラストとしています。戒律と法律が異性愛しか許さないモロッコ社会には、真の 自分を隠して生きる人々がいます。伝統を守る仕事を愛しながら、自分自身は伝統からはじかれた存在と苦悩する1人の男ハリムとその妻のミナ、そして若い職人のユーセフ。一針、一針、想いを込めながらドレスを紡いでいくモロッコ伝統工芸の美しさが、3人の濃厚な時間を彩り、特別な映画体験を作り出しているのです。

最期が迫る妻と夫が下した決断、その深い愛に涙

2021年モロッコの劇映画として初めて日本公開され大ヒットを記録した『モロッコ、彼女たちの朝』で、異国情緒あふれるパン屋を舞台に、心に孤独を抱えた2人の女性の連帯と希望を描いたマリヤム・トゥザニ監督が、最新作で描いたのは、カフタンドレスの仕立て屋を営む夫婦の物語。

 

カフタンドレスとは、結婚式や宗教行事などフォーマルな席に欠かせないモロッコの伝統衣装で、母から娘へと世代を超えて受け継がれる着物のようなもの。伝統を守る仕事を愛しながら自分自身は伝統からはじかれた存在と苦悩し真の自分を隠して生きるハリムとその妻のミナが本作の主人公です。

 

職人気質の夫を誰よりも理解し支えてきたミナは、病に侵され余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、3人は青いカフタン作りを通じて絆を深めていきます。

 

刻一刻とミナの最期の時が迫るなか、夫婦は“ある決断”をします。彼らが導き出した答えとは。その深い愛と選択に、思わず涙があふれ出すこと請け合いです。

 

モロッコの日常をスケッチしたコーランが響く旧市街、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場(ハマム)、男たちがミントティーを楽しむカフェといった“素顔のモロッコ”も見逃せない本作。伝統を守る仕立て職人の指先にレンズを向け、色とりどりの滑らかなシルク地に刺繍する繊細な手仕事をクローズアップし、一針、一針、想いを込めながらドレスを紡いでいくモロッコの伝統工芸のかけがえのない美しさも伝えてくれます。

 

『青いカフタンの仕立て屋』は、6月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開。

 

[作品情報]

『青いカフタンの仕立て屋』

英題:THE BLUE CAFTAN

監督・脚本:マリヤム・トゥザニ

出演:ルブナ・アザバル サーレフ・バクリ アイユーブ・ミシウィ

2022年/フランス、モロッコ、ベルギー、デンマーク/アラビア語/122分/ビスタ/カラー/5.1ch

字幕翻訳:原田りえ  

提供:WOWOW、ロングライド 

配給:ロングライド 

公式サイト:https://longride.jp/bluecaftan/

© Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe