クラシックのみならずジェンダー問題も提起──ケイト・ブランシェット『TAR/ター』特別対談映像

主演女優賞などアカデミー賞主要6部門ノミネート『TAR/ター』

ヴェネチア国際映画祭でのケイト・ブランシェットの主演女優賞を皮切りに、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)、アカデミー賞でも主要6部門にノミネートした映画『TAR/ター』が、5月12日に公開。このたび、トッド・フィールド監督とケイト・ブランシェットが秘話を語る対談映像が公開されました。

映像では、ケイト・ブランシェットが次のように語ります。

 

「最終的にはターの役柄が観客に語りかけると思うの、私はその呼びかけの一部になりたいと思ったのよ」

 

トッド・フィールド監督も次のように応じます。

 

「脚本を書くためにかなりのリサーチを行ったんだけど、ケイトは同じくらいの労力を持って向き合ってくれた。だから撮影を始める時点では、ケイトはすでに僕より多くを理解していたよ。僕たちは仕事をする中で脚本以上のものを共に発見していったんだ」 

 

そして“この映画は体験型”とユニークな分析をするブランシェット。

 

指揮者の多くは、ターの身に起こったものと同じような症状を認識するようだと、自ら行ったリサーチの結果を明かし、「ターの脳はすごい速さで動いている」と語り、そして膨大な量の情報と思考を処理しながら「聴衆のことも意識するのよ」と述べ、彼女の身に起こることを観客にも体験してもらうため役作りに腐心したことを明かしています。

 

また、この映画は“日常の物語”であると同時に“クラシック音楽の世界の物語”でもあり、さらにジェンダーというテーマも扱っているといいます。

 

「従来の男性中心の世界として描かれていないから、多面的なテーマを抵抗なく捉え、権力構造についての物語について、会話するきっかけにできる」と、多様な面を持つ本作に関しての思いを述懐。最後は「制作のあらゆる過程で喜びを感じ、最高の体験をさせてもらったわ」

 

と、ケイト・ブランシェットは本作に参加できたことへの感謝を述べています。

初の女性首席指揮者の末路

作品は、ドイツのベルリン・フィルで女性としてはじめて首席指揮者に任命された指揮者リディア・ター(ケイト・ブランシェット)を巡る物語。

 

天才的能力と類い希なるプロデュース力で、自身を1つのブランドとして作り上げてきました。しかし、のしかかる重圧、過剰な自尊心、仕掛けられた陰謀によって、彼女の心の闇は少しずつ広がっていき──。

 

『TAR/ター』は、5月12日にTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー公開。

 

[作品情報]

『TAR/ター』

原題:『TÁR』

アメリカ映画/2022年

監督・脚本:トッド・フィールド『イン・ザ・ベッドルーム』『リトル・チルドレン』 

出演:ケイト・ブランシェット『ブルー・ジャスミン』、マーク・ストロング『キングスマン』、ジュリアン・グローヴァ―『インディー・ジョーンズ/最後の聖戦』 音楽:ヒドゥル・グドナドッティル 『ジョーカー』(アカデミー賞作曲賞受賞) 

配給:ギャガ 

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