『アダマン号に乗って』4月28日公開
本年度ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金熊賞を受賞した日仏共同製作によるニコラ・フィリベール監督最新作『アダマン号に乗って』が4月28日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国公開されます。このたび、初の本編映像が公開されました。
カメラが映すのは、セーヌ川に浮かぶデイケアセンター、アダマン号の船内。一人の男性患者が歌うのは、フランスで1976年から1986年に活動していた人気ロックバンドTéléphon(テレフォン)最大のヒット曲「La bombe humaine(人間爆弾)」です。
「自分を手放すべきじゃない、絶対にダメだ」魂が込められた力強い歌声を、優しいギターの伴奏とともに温かい目線で見つめる仲間たち。アダマンに集まる人々の気持ちを代弁したかのような歌に、どこからともなく大喝采が沸き起こります。
アダマン号の人々の愛に溢れた瞬間を捉えた、観るものの心を動かすワンシーンとなっています。
「ブルシットジョブを捨てて乗船しよう!」
また、『アダマン号に乗って』に魅了された著名人の面々より早くもコメントが寄せられています。
常盤貴子(俳優)は、「議論を重ねて権利を勝ち取ってきたこの国に於いては、留まるのではなく、常に流れる水の上でこそ自由に漂うことができるのかもしれない。セーヌ川に浮かぶアダマン号に集い、話し合う様は、尊い、と思った」とコメント。
谷川俊太郎(詩人)は、「面白い!リアルでメチャクチャ面白い!日本が製作に参加してるのが誇らしい」と大絶賛。
白石正明 (編集者・医学書院「シリーズ ケアをひらく」 )は、「登場する一人一人が怪しすぎて見惚れてしまう。瞼のようなブラインドが開いてセーヌの川面が光り、鉄橋を渡る列車の音がぼんやり響く。なんて贅沢なアダマン号。さあ、ブルシットジョブを捨てて乗船しよう!」と呼びかけます。
想田和弘(映画作家)は、「アダマン号、誰もが自然体になれそうな、心地良さそうな空間だなあ。フィリベール監督らが散歩のついでにぶらりと立ち寄ったような、てらいのない描き方も素晴らしい。デイケアも映画も、これでいいんだよな。当たり前のことを、当たり前にやればいいんだ」と納得の様子。
櫛野展正(クシノテラス主宰 )は、「こころの病を抱える人たちが集うデイケアセンター、アダマン号。そこに行けば仲間がいる。ここで互いに語り合い、表現し合うことが治癒へと繋がっていく。薬だけに頼らない社会的処方の素晴らしい実践が、ここにある」とコメント。
木村草太(憲法学者)は、「なんて多彩な人たちなのだろう。その声、その眼差し、仕草、紡がれる言葉、そしてメロディーに魅せられた。船の窓が開く姿も、たまらなく良い」と感嘆の声を上げます。
精神科医療の「奇跡」の現場
舞台は、パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船。ユニークなデイケアセンター「アダマン号」。精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートをしています。
運営するのは、精神科医療の世界で起こる“質の低下”や“非人間化”の波にできる限り抵抗しようとするチーム。患者もスタッフも区別なく、誰しもにとって生き生きと魅力的なこの場所を監督は「奇跡」と呼んで、ここにやってくる人たちに寄り添い、優しい眼差しで捉え見つめ続けています。
『アダマン号に乗って』は、4月28日公開。
[作品情報]
『アダマン号に乗って』
原題:Sur L’Adamant
監督:ニコラ・フィリベール
2022年/フランス・日本/フランス語/109分/アメリカンビスタ/カラー
日本語字幕:原田りえ
共同製作・配給:ロングライド
協力:ユニフランス
© TS Productions, France 3 Cinéma, Longride – 2022