「人が作るアートなんて、屁みたいなもん」──企画展『挾土秀平・土に降る』

左官職人・挾土秀平と寺田倉庫による日本のものづくりの根源を見つめ直す企画展『挾土秀平・土に降る』が、東京・品川の寺田倉庫G号で2月14日まで開催中です。

左官職人の枠に囚われない“表現者”として、NHK大河ドラマ『真田丸』の題字やタイトルバック、ザ・ペニンシュラホテルらホテルや美術館といった現場を手掛け、土を用いたアート作品も手掛ける挾土。その世界観を、コンクリート打ちっ放しの広大な倉庫空間に展示しています。

 

大型の業務用エレベーターで案内された展示会場は、人間が己の原点を辿るうち自然にもてなしを受けているかのような、巨大な茶室さながらの空間となっています。

 

『台風一過の晴天』。すざまじい台風の後の晴天下でみつけた、土砂崩れを起こした斜面で泥の水たまりの中に偶然墜ちたクリのイガ。恐怖から一転して安堵感を覚えた心情を描いています。

 

「今の時代とはひと味違うアナログ感、自然観、環境的な社会性、『土』『水』『光』がつくりだす美意識をひとつの世界観として伝えたい」

 

ぜひその世界観に身を置いて、自然の中の人間について思いを馳せていただければ。

 

(取材・写真・文:遠藤)

『波紋』光と波が干渉し合う3枚組の作品
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『光の隆起』夕日が沈む海の、波の起伏を照らす光を描く
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『最後の砂』壊れた砂時計。その終わりに刻一刻と近づく
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挾土の邸宅の屋根裏にある塗り壁の秘密基地。「ちょっといいモノがでると、全部捨てちゃう。それじゃあ、人の脳は休めないんだよね。ちょっと手前のところを捨てないこと。いいかえれば、時代性を残していくこと」と語った(2019年)
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