宮川一夫の捉えた山本富士子が4Kで鮮明に蘇る!『夜の河』ドイツでも2月に上映決定

『夜の河』4K、日独で初上映

1月20日より『大映 4K 映画祭』が開催されます。なかでも、4K初披露の目玉の一つに『夜の河』世界初上映があります。

 

そんな『夜の河』4Kが、2月16日より開催される第73回ベルリン国際映画祭・クラシック部門(Berlinale Classics section)で、インターナショナル・プレミア上映(海外では初上映)されることが決まりました。これは、日本映画では唯一の作品です。

 

上映日は2月7日に発表予定で、KADOKAWA(大映)作品が選出されるのは、2015年の第65回フォーラム部門で市川崑監督『炎上』『おとうと』『雪之丞変化』以来8年ぶりです。

 

選考委員会の選出理由は二つ。伝統を現代へと継承する中で強く生きる女性の物語を雄弁に物語る映像に魅了されたこと、日本のカラー映画初期の本作のレストレーションの質の高さに感銘を受けたこと、が挙げられています。

『夜の河』当時の予告編を4K映像で制作しなおしたもの、および4K化にあたってどのくらいの違いが出ているかを確認できる場面写真4点(4K―Before/After 合成写真)

いまみても胸キュン、キネ旬第2位『夜の河』

『夜の河』は、「女性映画の巨匠」吉村公三郎監督の代表作のひとつ。

 

溝口健二、黒澤明、小津安二郎、市川崑など日本を代表する巨匠の作品の撮影をつとめた宮川一夫が撮影、主演にミス日本初代グランプリの山本富士子を迎え、叶わぬ恋を切なく描くラブストーリー。

 

老舗京染屋の長女で、染物職人のきわ(山本)は、新しい感性で手腕を発揮し評判に。ある日彼女は、大学教授の竹村(上原)と出会い恋に落ちるが、男には娘と病床に伏す妻がいました…。キネマ旬報ベストテン第2位。

 

現代にも通ずる恋と仕事のはざまに悩むヒロインの揺れる心情を繊細に描いた傑作として有名ですが、こちらの予告は今回の上映に合わせてリマスターしたもので、当時の京都の街並みや和装・洋装の着こなしがクリアに確認できるのも見どころのひとつです。

1956年公開当時の予告編は現在よりも秒数が多く、より本編の内容を垣間見られるのも特徴です。 

 

[作品情報]

『夜の河』(1956 年/カラー/104 分/スタンダード) 

©KADOKAWA1956

監督:吉村公三郎 

原作:沢野久雄 

脚本:田中澄江 

撮影:宮川一夫 

美術:内藤昭 音楽:池野成

出演:山本富士子、上原謙、小野道子、阿井美千子、川崎敬三