FLOSメディア向け発表会がB&B Itaria Tokyoショールームで開催
イタリアの照明ブランドFLOS(フロス)が、2022年ミラノ デザインウィークで発表した20の新製品のうち8製品を日本ローンチ。2022年12月8日に東京・北青山にあるB&B Itaria Tokyoショールームでメディア向けに披露されました。
日本フロスからフロスジャパンへ
冒頭挨拶に立った代表取締役社長の松原秀樹は、FLOSの日本法人として長年親しまれてきた「日本フロス」から「フロスジャパン」への名称変更と来春の新オフィスへの移転を報告。
今後の展開についても、(1)ホーム、レジデンスのほか、(2)建築・設備系も強化。2018年にThe Design Holdingの傘下に入り、カルティエやブルガリホテルなどハイブランドなブティックやグループ会社の設備に導入されることで、ブランドの存在感も上がりました。また、(3)アウトドアや(4)特注部門にもさらに力を入れていくとのこと。実際、安藤忠雄が手掛けたパリの美術館ブルス・ドゥ・コメルスにも納品しています。
カラバリ、サスティナビリティ、職人芸が生かされる
今回日本ローンチの8商品には、豊富なカラーバリエーション、接着剤を使わず故障した部品の交換が可能で環境に優しいこと、伝統的な職人芸と最先端テクノロジーの融合といった、近年FLOSが重視する取り組みが明確に示されています。
SKYNEST DESIGN MARCEL WANDERS STUDIO
Skynestは、繊細でありながら存在感のある照明器具としてマルセル・ワンダース スタジオがデザインしたロングセラーSkygarden(スカイガーデン)に続く、シンプルなドーム型ペンダント。
しかし中央に光源がある典型的なペンダントではなく、竹ひごのようなランプシェードを構成するもの自体がLED光源なのです。
この24本のLEDライトは、ツートンカラーのテキスタイルで覆われ、内側の白い面が光源、外側は布で巻かれています。
この布のカラーバリエーションも、白や黒といった典型的なものではなく、almondやanthraciteのようにニュアンスを加えたものばかりで、ほかにblue tomaline、brick redを加えた4色構成となっています。
サイズも比較的大ぶりで900mm径ありますが、見た目の抜けも良く軽やかな仕上がりが印象的です。
またこのLEDはユーザーで部品を取り寄せて1本1本交換が可能と、サスティナビリティにも配慮されています。
ALMENDRA DESIGN PATRICIA URQUIOLA
パトリシア・ウルキオラのデザインによる「Almendra」は、スペイン語でアーモンドの意。自然と技術の融合を体現する完璧な有機体である種子、そしてそれを放出するための殻が開いているイメージが表現されたペンダント照明。この照明システムは、テクノロジーと自然の二元論に取り組み2015年の「Serena」コレクションですでに採用していたデザインアプローチを取り入れています。
アーモンドの殻を2つ中央のピンでつないだような形状のモジュールを開発。この開放面全体から均一にLEDの光が拡散されます。
このモジュールは直線または曲線のシャフトに取り付けられ、3灯、4灯、6灯、下向きまたは上向きに設置できるなど幅広いシステム提案が可能です。
したがってショールームには全てのバリエーションを展示できないため、カラーサンプルとともに提案することとしているそうです。
TO-TIE DESIGN GUGLIELMO POLETTI
「To-Tie(英語の「Tie」、「Furnast」)」は、“バーと紐”という、FLOSらしいシンプルな構成要素で組み上げた製品。ネジや接着剤や溶接を必要とせず、張力のみで結合させた最小限のパーツで構成された新しいテーブルランプです。
光源はアルマイト加工されたアルミニウム製のバーに内蔵されており、ランプを持ち上げるためのハンドルとしても機能します。布製の電源ケーブルは、バーに電力を供給するだけでなく、バーをガラスのシリンダーに固定する役割を担っています。
この透明度の高いガラスシリンダーは、エッジの全周を手作業で仕上げ、布製の電源ケーブルは機能的かつ調和のとれた結び目を構成し、特別に設計されたケーブルリテイナーによって固定されています。
アルマイト処理されたアルミニウムのバーには、バーに跡がつかないよう特別なローレットが施されており、それは特別仕様のスイッチコントロールにも表れています。
このコレクションには3種類(T1、T2、T3)のバリエーションがあり、このモデルについてはブラックとアルミニウムグレーの2種類のアルマイト仕上げだけとなっています。
LUCE ORIZZONTALE DESIGN RONAN & ERWAN BOUROULLEC
LUCE ORIZONTALEは、2009年Vitraのvegetal chairでICFF awardを、2011年にMaison & Objetのdesigners of the Yearを受賞したフランスのロナン&エルワン・ブルレック兄弟の製品。もともとはカスタムメイドで制作したインスタレーションが評判を呼び、製品化に至りました。
鋳造ガラスのパーツで光を反射させるという珍しい効果を利用した、最高級かつ最先端の彫刻的な作品。ガラスを型に流し込み、一つひとつ手作業で作られるシリンダーは、職人の動きがもたらした痕跡をとどめ、それぞれまったく同じものがない個性的な作品に仕上がっています。
この製品もモジュール式で、8本、10本、12本の鋳造ガラスのシリンダーを吊るし連結することで、異なる構造を作り上げています。ガラスのシリンダーは、ランプを支える軸となる一次研磨されたアルミニウムのバーに通してあります。光源となる、上向きに光を発するLEDと下向きに光を発するLEDのラインは、バーの中に挿入され、DaliシステムおよびPush Dimシステムと互換性のあるタッチ式調光スイッチは、バーの端に配置されています。
BELLHOP WALL UP DESIGN EDWARD BARBER & JAY OSGERBY
Bellhop Wall Upは、エドワード・バーバーとジェイ・オスガービーがデザインしたウォールランプ。
2017年に発表された持ち運び可能な充電式テーブルランプとしてヒットしたBellhop Tableから始まったBellhopファミリーは、屋外用モデルBellhop Wallなどバリエーションを増やし、このたびブラケットタイプが実現しました。
これまでと唯一かつ重要な違いは、シェードの向きが逆になっていること。光を壁ではなく、上に向けて照射することができます。一コでも100W相当とパワフルなのも魅力。
Bellhop Wallは、Bellhop Tableと同じカラーバリエーションで展開されており、Bellhopのフォルムが大胆な色彩によくマッチしています。
SPECIAL EDITION: BELLHOP MATTE BLACK DESIGN EDWARD BARBER & JAY OSGERBY
テーブルランプBellhopに、新色としてマットブラックが追加されました。
このスペシャルエディションは、デザインに新たな個性と質感をもたらします。アートやファッション、音楽や映画、建築やインテリアデザインにおいて、黒は創造的なアイデアを瞬時に感情に変換する色。美術品に使われた最初の色の一つです。
先史時代の芸術家は黒い炭と鉄の鉱物を使って、ルペストリアンアートに使われる顔料を作り出しました。1927年、Coco Chanel(ココ・シャネル)の手によって黒いドレスが誕生。建築の分野でも、Mies Van Der Rohe (ミース・ファン・デル・ローエ)は1958年にシカゴのシーグラムビルを完成させた際、全体を黒で統一しています。
最近、黒曜石の色調を選ぶインテリアデザイナーがますます増えてきました。ブラックメタルのキッチンカバーや前板、収納ボックス、ウォークインクローゼット、サイドボードなど、すべてこのダークシェードで表現され、空間に洗練とトーンダウ ンした魅力を吹き込んでいます。
光源下の光のグラデーションが美しく、これまでのBell Hopが持つPOPな印象を覆しています。
OBLIQUE FLOOR DESIGN VINCENT VAN DUYSEN
Oblique Floorは、建築家としても知られるヴィンセント・ヴァン・デュイセンによって、建築照明のカテゴリーから発表されました。2020年にクラシックなテーブルランプの現代版としてデザインされたOblique Tableのフロアランプ版です。
特徴は、LEDとレンズを巧みに組み合わせ最小限のスペースで「斜め」に落ちる光 と強力に制御された非対称な配光にあります。作業エリアを最適に照らしつつ、眩しさを防ぎます。パーソナルなチェアやソファに最適の製品です。
ランプがオフの状態でボタンを1回押すと、最後にプログラムされた明るさで点灯。再度ボタンを押すとランプがオフに。オンまたはオフの状態でボタンを押し続けると、明るさは100%になるまで上がり2回点滅します。
このOblique Floorも接着剤を使わずに組み立てできるように設計されているほか、特許取得のレンズ技術によりわずか8Wの消費電力で適切な光量を提供できます。
265 SMALL DESIGN PAOLO RIZZATTO
265 Smallは、1973年にイタリア・ミラノの建築家Paolo Rizzatto(パオロ・リザット)がデザインした265の最新のウォールランプ。
265はマルチアングルで回転するヘッドと長くて調節可能なスイングアームを持つ細身で柔軟なフォルムとOC Whiteのような機能性が人気でしたが、アームの長さが245cmと、一般家庭に導入するにはいかにも大きすぎました。
265 Smallは、265のアイコニックなデザイン、素材、カラー仕上げを踏襲しながら、よりコンパクト化。アームの長さも150cmとなりました。
また、1973年のオリジナル256でリザットが念頭に置いていながら生産されなかった、赤いヘッド、黄色いカウンターウェイト、青いコネクティングアームというカラーリングも採用。265 Chromatica(クロマティカ)と265 Small Chromatica(スモールクロマティカ)として発売されることとなりました。
FLOS2022新作は、2023年1月15日(日)まで、東京・北青山にあるB&B Italia Tokyoで展示中。
[展示詳細]
会期 : 2022年12月8日(木) - 2023年1月15日(日)
会場 : B&B Italia Tokyo 東京都港区北青山2-5-8 青山OM-SQUARE 1,3F 営業時間 : 11:00 - 18:00
*水曜定休 (12月28日(水) - 2023年 1月4日(水) は年末年始休業)
(取材・写真・文:遠藤)