「Amazon Prime Videoテイクワン賞」トークイベント
東京国際映画祭の「Amazon Prime Videoテイクワン賞」は、Amazon Prime Videoの協賛による才能発掘プロジェクト。昨年21年に創設され、その第1弾にはキム・ユンス監督の『日曜日、凪』が選ばれました。
今年22年の第35回東京国際映画祭では、初日10月24日にファイナリスト7作品が上映され、上映後に審査委員長の行定勲監督と、昨年受賞者のキム・ユンス監督が登壇しました。
Amazonスタジオへの企画提案というハードル
昨年の上映・受賞を経てAmazonスタジオに企画提案する機会を今年1月に獲得したユンス監督は、「これまでは自分のやりたいものをやっていたので、企画が通らないということがなかった。でも今回、Amazonスタジオとそういった経過を辿るのだと思うと、6分の好奇心と4分の恐怖があります」と素直に語りました。
通常、作品が世に出て行くでは、前作の評価があって声がかかり次の作品の製作に繋がっていくのですが、そうしたキャリアを積み重ねていくのに時間がかかります。それを飛び越えて新たな才能を発掘する手段になればと願うところです。
行定監督も、「僕自身ですら10年ぐらいお付き合いがありながらまだ1作も撮れていない。10年もキャリアがあると、処世術も身について麻痺してくるところがある。そうなる前のヴィヴィッドな瞬間をつかみ取ることができるかを考えながら審査しようと思っています」と語っていました。
女性の躍進について、選ぶ側が男性という問題も
また、本作品のファイナリスト7作品のうち、14歳を含む女性が5人。応募の比率では8割が男性なのにこの結果となった理由について問われた行定監督は、「現場にも粘り強い女性が増えていることもあるでしょうし、性別や年齢で特別視することがなくニュートラルになったということだろう。また、バランスがあり既存の作品と対峙しがちな男性より、本質的なところに切り込んでくるものが女性の作品に多い。とくに短編の場合、それが顕著にでるのだろう。さらにいえば、選んでいる側が男性ばかりという問題もあるだろう」と語っています。
深い洞察でこの賞を捉えている行定監督に対し、Amazonスタジオはどこまで主旨を理解しているのかが問われているように思います。
(取材・写真・文:遠藤)
※会見動画はオフィシャルの素材を掲載しています。©2022 TIFF