ヴィトラとSKWATによるジャン・プルーヴェ企画展「P」10月29日(土)まで
2022年9月17日(土)から10月29日(土)まで、東京・表参道のSKWATにて、ヴィトラとSKWATによる期間限定のパブリックスペースが出現しました。
ヴィトラのジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé)製品で構成されたその空間の名は、Public、Place、Practice、Prouvéの頭文字をとって、「P」。スチールを巧みに使ったプルーヴェの家具や構造物とリンクするように鉄骨でアングルが組まれたその空間では、プルーヴェ製品の新カラーや希少な復刻製品、世界100台限定の特別限定製品をいち早く体験できるほか、デスクで働いたり、本を読んだり、休憩したり、公共空間さながらに自由な目的でこの場とプルーヴェ製品を実際に「使う」ことができます。
会場はヴィトラと理念を共にするSKWAT&twelvebooks
「P」の会場であるSKWATの地下1階は、ふだん2階のアートブック専門店 twelvebooksの倉庫スペースとして活用されているエリア。展示会期間中も、実際に書籍の発送作業をしている様子や、日常のデスクワークを行うスタッフの姿も目の当たりにできます。
SKWATは、都市の遊休施設を一時的に占有し一般へ解放する運動として2019年に始動。現在では物理的な空間のみならず、オンラインや公共電波にも範囲を拡大、場づくりや発信活動に取り組み、その手法は展示、出版、物販、レクチャー、いずれも不完全なものから生じる価値の転換に焦点を当てて展開しています。
twelvebooksは、2010年に東京を拠点に設立されたアートブック専門のディストリビューター。海外出版社の国内総合代理店として書籍の流通やプロモーションを行うのに加え、関連作家の展覧会企画や来日イベントなど数多くのプロジェクトを手掛けています。
ジャン・プルーヴェを存分に学べる企画も盛りだくさん
期間中は、この秋注目の新製品の展示のほか、トークイベント、組み立て・解体の体験、プルーヴェにまつわる映像上映などを通して、ジャン・プルーヴェという人物や彼のデザイン哲学・理念を感じることができます。
ヴィトラは、2002年より製造・販売しているジャン・プルーヴェ製品を、プルーヴェ工場であった「アトリエ ジャン・プルーヴェ」のカラーパレットより選んだ 新たな4色を加えた全8色展開に拡張。新作と合わせて9月17日より発売しました。
写真では分かりづらいスチール塗装の微妙な色味や仕上げ、素材感などをぜひ体感して。
また、9月20日発売の世界100脚限定の特別限定製品「フォトゥイユ カングルー」のサンプルも展示。サンプルは世界に3脚しかないとのことで、その実物に座って試せる貴重な機会です。
現物の見た目は意外とスリム。しかし実際に座ってみるとたっぷりとしておりラウンジチェアとしての風格が味わえます。
組み立て・解体の体験
既存に寄り添い、サイトスペシフィックな空間を構成するSKWATは、ジャン・プルーヴェの哲学と共鳴します。また、構造を重視したプルーヴェ家具の中には、組み立て、解体、再構築ができる製品も。今回「P」では、組み換えができるワークショップコーナーを併設し、自分の手で「スタンダード」の背座のカラー組み替えをおこなうことができます。
ジャン・プルーヴェ関連映像
会場では、ジャン・プルーヴェ関連の映像も上映。
1954年に建てられ現存するプルーヴェハウス、ジャン・プルーヴェの娘のカトリーヌ・プルーヴェのインタビューが随時上映されているほか、毎日18:00にはジャン・プルーヴェのドキュメンタリー映画「ジャン・プルーヴェ 勇気ある反抗者」が上映されます。
ジャン・プルーヴェ関連書籍
会場では、プルーヴェの作品集や関連書籍を手に取り、プルーヴェの椅子やデスクを使いながら読むことができます。気に入れば2階のtwelwvebooksで購入もできます。
トークイベントも実施
10月7日(金)19:00〜20:00
「Who is Jean Prouvé?」
登壇:山名善之(建築家・美術史家、東京理科大学理工学部建築学科教授)
会場「P」
定員40名
10月12日(水)19:00〜20:00
「構造から読み解く、プルーヴェの職能と建築作品」
登壇:横尾真(構造家、シンガポール国立大学上級講師/東京理科大学客員准教授)
オンライン開催(Zoom)
ヴィトラとジャン・プルーヴェの関係
ヴィトラの現名誉会長ロルフ・フェルバウムは、1980年代に一脚の「アントニー」に出会ったことからプルーヴェ作品の収集と研究を開始。1999年にプルーヴェファミリーとの話し合いを経て全プルーヴェ製品の復刻と製造販売権を獲得して現在に至ります。大量の模造品と超高額なヴィンテージが流通する中で、リーズナブルな価格で正規の新品を購入できることには感謝しかありません。
折しも東京都現代美術館では「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」が10月16日(日)まで開催中。スチール等の新たな素材を用い実験的で先進的な手法で家具から建築へと創造の領域を広げていったプルーヴェの仕事に思いを馳せながら、友だち同士でしばし寛いでみては。
(取材・会場写真・文:遠藤
製品写真提供:VITRA Japan)
[イベント情報]「P」
期間: 2022年9月17日(土)〜10月29日(土)
営業時間: 12:00〜19:00
定休日:日曜・月曜
※9月18日(日)、19日(月・祝)は営業、10月20日は臨時休業
住所:東京都港区南青山5−3−2 B1
問い合わせ:03−6868−8820