長崎原爆の悲惨さを伝えるノンフィクション映画「長崎の郵便配達」2022年8月5日公開
ピーター・タウンゼンドが長崎で郵便配達中に16歳で被爆した谷口稜曄(スミテル)さんを取材したノンフィクション小説「THE POSTMAN OF NAGASAKI」(1984)。ピーターの娘で女優のイザベル・タウンゼンドさんが父の著書とボイスメモを頼りに足跡を辿り、父と谷口さんの想いを受け継ぐドキュメンタリー映画「長崎の郵便配達」が、2022年8月5日より公開されました。
被爆者・谷口稜曄(スミテル)さんの国連演説動画
映画公開を記念し本編映像が公開されました。2015年NY国連本部での谷口さんのスピーチ映像です。
スミテル少年(谷口さん)は、1945年8月9日の当時16歳で長崎市で郵便配達中に被爆、背中一面に重度の火傷を負ったが奇跡的に生還。3年7ヶ月の治療を経て、郵便局員として復職しました。
谷口さんは、2017年8月に亡くなるまで日本原水爆被害者団体協議会の代表をつとめるなど約70年にわたり被爆者運動を牽引、長崎の人々 にとって「ヒーローのような存在」でした。
「赤い背中の少年」として世界的に知られる写真をかかげ、原爆が生涯谷口さんの心身に与え続けた深い傷について語っています。
「3年7ヶ月の闘病生活の間、1年9ヶ月うつぶせの状態で身動き一つできなかったので、胸が床ずれで腐りました。胸は今でもえぐり取られたようになり、肋骨の間から心臓の動いているのが見えます。私はこんな状態で今日まで生きてきました」
ピーター・タウンゼンドの著書「THE POSTMAN OF NAGASAKI」の復刊を誰よりも望んでいたという谷口さんは生前、「許せないんだよ。原爆が悲惨なことは明らかにも関わらず、世界はまだ核を保有している。この本が後世に残っていくことが重要なのだ」と語っていたそうです。
この夏、長崎を旅したくなる場面写真およびメイキング写真
また、2018年8月の長崎で、イザベルさんは本をなぞり父のボイスメモに耳を傾けながら、長崎の“スミテル少年”が毎日歩いた階段や神社、被爆した周辺などを訪ね歩き、父・ピーターの足跡を辿ります。
長崎のお盆の伝統行事、精霊流しでは、谷口さんの家族と共に船を曳いたりと、長崎の様々な夏の行事や観光名所が映し出されており、映画で旅気分を味わえるのも本作の醍醐味。その場面写真とメイキング写真が公開されました。
イザベルさんは、長崎のお盆の恒例行事で死者の魂を弔い送る「精霊流し」に参加。谷口スミテルさんの精霊船を曳く様子、長崎市松山町の爆心地公園でのキャンドルの様子、原爆犠牲者に祈りをささげるキャンドルの温かい光に平和への願いを重ねます。
毎年8月9日長崎原爆の日に原爆被害者たちを追悼する「たいまつ行列」に参加するイザベルさんは、浦上教会から平和公園までの約900メートルを「被爆マリア像」を聖座に乗せてたいまつを持ち行進します。
長崎港の西側の高台に位置する烏岩神社では、イザベルさんがリラックスして微笑む姿も!隣には、公園があり、長崎の町を一望できる人気スポットにもなっています。
開国に伴い造成された外国人居留地「東山手」にあるオランダ坂には、石畳や長崎らしい洋館と坂の風景を眺めることができ、長崎の史跡が色濃く残されています。
同じく、長崎市を見渡せるスポットとして人気なのが稲佐山。山頂の展望台から望む景色は「世界新三大夜景を望む絶景スポット」の一つと呼ばれています。
一冊の本から始まった父の記憶を辿る旅──娘が時空を超えて父から受け取る平和へのメッセージ。心あたたまる珠玉のドキュメンタリー「長崎の郵便配達」は2022年8月5日より公開中です。
「長崎の郵便配達」作品情報
監督・撮影:川瀬美香
構成・編集:大重裕二
音楽:明星/Akeboshi
エグゼクティブ・プロデューサー:柄澤哲夫
プロデューサー:イザベル・タウンゼンド、高田明男、坂本光正
プロダクション・アシスタント: 坂本肖美
企画制作:ART TRUE FILM
製作:長崎の郵便配達製作パートナーズ
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド
longride.jp/nagasaki-postman
2021年/日本/日本語・英語・仏語/97 分/4K/カラー/2.0ch/
日本語字幕:小川政弘 フランス語翻訳:松本卓也
配給:ロングライド
©The Postman from Nagasaki Film Partners