モルテーニ新作は、50〜70年代建築家へのリスペクトにあふれる
Molteni&C(モルテーニ)とDada(ダーダ)が、モルテー二・ダーダ東京、モルテーニ・ダーダ大阪のリニューアルオープンに伴い、新作コレクションを国内発表。そこでこのたび、東京・南青山の旗艦店モルテーニ・ダーダ東京をご案内いただきました。
コレクションの内容は、2021年ミラノ・サローネで発表されたものの日本展開。1950年代から70年代に活躍したイタリアの偉大な2人の建築家、カルロ・スカルパと、イグナツィオ・ガルデッラをリスペクトしたものになっています。
カルロ・スカルパは、家具は空間の一部として溶け込むべきものというポリシーの持ち主。日本ゆかりの八角形を多用した幾何学的なデザインで、彫刻のような緻密な建築が特徴です。
一方のイグナツィオ・ガルデッラはむしろ家具が主役で、空間にアクセントをもたらすようなオレンジやバーガンディレッドといった鮮やかな色遣いや丸みのあるシルエットを多用した柔らかい雰囲気に特徴があります。
それぞれのいいところを取り入れつつ、それを現代にアップデートしたという新作について、個別に見ていくことにしましょう。
505 UP SYSTEM ブックシェルフ&マルチメディア収納
1975年初出のモルテーニ収納の代表作のひとつ「505」システムのアップグレードバージョン「505 UP」は、汎用性が高く多機能で、用途に応じたアレンジもできる現代の収納に求められるニーズを形にしたもの。
グレー・ベージュを基調としたバックパネルにより、全体として壁の一部のように溶け込みながら、アクセントを与えているのは10cm飛び出した出窓のようなキャビネット「Display Box」。グリッドは自在に移動できるので、じぶんだけのオリジナルなスタイルを創り出すことができます。背後に設けられた32mmのクリアランスにより、LEDの間接光が棚全体をふわりと浮き上がらせているのが他にはない魅力を放っています。
ちなみに間仕切りの間隔は、Nicola Gallizia(ニコラ・ガリッツィア)が見いだした“黄金比”(16mmの倍数)に基づくもの。大画面テレビのあるリビングに壁一面の収納をスタイリッシュに仕上げるにはピッタリでしょう。
なお、この505UPシステムを踏襲したシステムキャビネットもあります。
ベッドルームの充実もトレンド。クチュリエとのコラボも
2020年発表のシェルフシステムHECTOR(ヘクトル)シリーズのナイトエリアに特化バージョン、HECTOR NIGHT(ヘクトル ナイト)が登場しました。
ヘクトル同様、天井と床を固定することにより空間を緩やかに仕切るパーテーションとしても機能する収納システムで、ヘクトルのディテールの上品さと高級感はそのままに、より様々な実用性と機能性を兼ね備えた多様なパーツを組み合わせて思い通りのワードローブを作ることが可能です。
本革のような風合いを長く楽しめるエコスキン素材の採用など、近時重視されるサステナビリティーにも配慮。モルテーニのシステム研究における集大成と言えます。
なお今回は、イタリア人クチュリエのマルタ・フェッリのファブリックコレクション「マルタ・フェッリ コレクション」の新しいラグDEDALO(デダロ)も発表、展示されています。
創業以来80年以上ファブリック業界を牽引しつづけるフランスの老舗メゾンPierre Frey(ピエール・フレイ)との初のコラボレーションであるこのラグは、1963年にカルロ・スカルパがデザインしたベネツィアのクェリーニ ・スタンパリア美術館のタイル装飾からインスピレーションを受けたもの。柔らかな肌触りのウールに、強度と弾性に優れたテンセルを 組み合わせ、使いやすさと耐久性、デザインの美しさを全て兼ね備えています。
ちなみに、ここに吊られている服もマルタ・フェッリの手によるものだそうです。
これらは、モルテーニ「Lounge」棟に展示されています。
ダイナミックなヌケ感を実現する、隠し引き出しのあるシステムソファ
大画面といい音を長時間ゆったりと楽しみたい──そんなシーンにピッタリなのが、バックシートを自由にアレンジでき、楽な姿勢で長時間ゆったりとくつろげる、Vincent Van Duysen(ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン)デザインの多機能シーティング&ストレージシステム「Marteen(マルテーン)」です。
シートやストレージユニットなどを組み合わせるモジュール方式であるため、シートはアイランド型に背中合わせにし、合間にストレージを置けば、隠し収納を兼ねたサイドテーブルとして機能します。
モルテーニ・ダーダ東京では、キッチンブランドを主に展示するダーダ東京の棟入口に置かれています。
※次回はダーダキッチンを中心にお届けします。
(取材・写真・文:遠藤)