LINN、レコードプレーヤーシステム「LP12パッケージ」を刷新
スコットランドのオーディオブランドLINN(リン)が、レコードプレーヤーLP12のシステム「LP12パッケージ」を刷新しました。
LINNプロダクツは、ギラード・ティーフェンブルンによっていまや世の主流となったネットワークオーディオプレーヤーDS(2007年〜)や、近年欧州を中心に主流になりつつあるアクティブスピーカーの考え方のはしりともいえる「デジタル伝送をスピーカーまで及ぼす」というEXAKT(イグザクト)オーディオシステムを推進するハイエンドオーディオメーカー。でもその始まりは、父のアイバー・ティーフェンブルンが「他のどこにもない、素晴らしく音のいいミュージックシステムを作りたい」と1972年に発売したレコードプレーヤーSONDEK LP12です。
もちろん、現在に至るまでLINNは、CD12など上質なCDプレーヤーも発売しましたが、ギラードがいちはやくネットワークの可能性に気づきDSに移行した一方で、このLP12は、リファインを重ねながら現在も発売されています。もともとのLP12のコンセプトが正しかった証明だともいえるでしょう。
LP12の凄さは、プリンスと呼ばれる木枠の本体、サブシャーシ、その上にフローティングした状態で載せられたターンテーブルやアームのほか、電源などをモジュール構造とし、将来的に自由にアップグレードできるところにあります。
実はこうした「アップグレード」の思想は、デジタル化した現在の製品でも「ソフトウェアアップデート」やハードウェアの「アップグレードプログラム」といった仕組みとして受け継がれています。それは、アイバーが既存の機器では飽き足らなかったという開発動機が象徴する、ユーザー目線そのものなのです。
今回のラインナップ刷新にあたっても、カートリッジやトーンアームなど新製品が発表されており、すでにLP12を所有しているユーザーはそれだけ置き換えることで最新のLP12を手にすることになります。
一方で、これからLP12でアナログをはじめようという幸せな動機を持った人に提供されるのが、今回のお買い得パッケージなのです。
MAJIK LP12 MC
ベーシックグレードのMAJIK LP12 MC(605,000円・税込〜)は、新しいMCカートリッジKoil(コイル、154,000円・税込)を搭載した新パッケージです。
このKoilは、日本の老舗オーディオブランド・オーディオテクニカとの協力して開発。OC9シリーズをベースにサスペンションシステムなどに独自構造を盛り込んでいます。アルミニウムボディに、マイクロリニア針、ボロンカンチレバー、銅線コイルを採用しています。
MAJIK LP12 SE
こちらは、電源をLingo 4にアップグレードすることで、45回転レコードの再生も可能とするシステムです(935,000円・税込〜)。
さらに、振動キャンセルと水平調整機能を高める脚部、Trampolinに変更するなどMAJIK LP12最上位機種として万全なパッケージです。
SELEKT LP12
SELEKTは、MAJIKの上位グレード。SELEKT LP12(1,952,500円・税込〜)は、EKOS SE以来の新設計トーンアームArko(アーコ、単体価格550,000円・税込)と、ハイエンドモデルEKSTATIKの流れを汲む新しいMCカートリッジKendo(ケンドー、単体価格528,000円・税込)を搭載し、LINNの最新技術を意欲的に詰め込んだパッケージです。
また、SELEKT LP12 SE(2,607,000円・税込〜)は、さらに電源Radikal-AKと内蔵型ハイブリッドフォノイコライザーUrika2を搭載、ハイエンドのKLIMAXにも迫るモデル。Exakt Link端子を持つLINN DS/DSM/EXAKT ユーザー前提のセットです。
エンジニアならではの“逆転の発想”が生んだ、超ロングセラーの名器
LP12がほかのアナログプレーヤーと決定的に違うのは、「レコード針がレコードの溝の上を走って行くのではなく、むしろその逆、ターンテーブルのエネルギーによって針先が動かされている」という発想に基づいていることです。そして、記録された情報ロスをいかに少なくするかに意が払われています。
ぱっと見そっけないLP12が、基本的な構造を変えることなく後世に引き継がれ愛用されつづけているのには、訳があるのです。
(資料提供:リンジャパン)