感性に訴える
リリースでは「史上最高音質のワイヤレススピーカー」というキャッチが付けられている。
いま巷を賑わしているAIスピーカーとしての機能も、実はこのSeries3は搭載している。1本だけのモノラル再生も可能だ。
キャビネットは天然の鉱石を粉砕して成型したというが、マットな仕上げとティアドロップシェイプもあわせると、花瓶のように華やか。不遜に見えるだろうが正直に言うと、もしバルミューダがスピーカーを作ったらこんなデザインなるのかな、アリかも・・・と思った。
ティアドロップないしエッグシェルスタイルのスピーカーはKEFやECLIPSEなどこれまでもいくつか見られたが、きまって音の回折やらタイムドメインがどうとか機能的な「説明」が前に出る。
ところがseries3はアタマの部分がスパッと切られているのを根拠に、「ワイングラスかテイスティンググラスか」(リリース)と「感性」に訴える。モバイル用途でもないのに「特別な触り心地」を謳っているのだ。
そして天面のタッチパネル。
このサークルデザインは、先に発売されたSelekt DSMのトップに配置されたダイヤルと共通する。
もしかすると今後登場するLINN製品すべてのアイコンとなるかもしれない。
昭和から見た未来というか、永遠のSFデザインというか。時計の針のようなアナログ感覚もある。音楽も映画も時間芸術であることを意識させる。
ハイエンドオーディオブランドLINNの考えるAIスピーカー
果たしてそのサウンドだが、やはりというか、一聴して、巷のいわゆるAIスピーカーの類いとは全くレベルが違うものだった。
中身がSelekt DSMと同等で、値段も値段だから当たり前なのだが、30cmそこそこのブックシェルフスピーカーとは思えないほど朗々と鳴り、「これで何か問題でも?」とでも言いたげなぐらい、立派なハイエンドオーディオシステムだ。
そして何より、やっぱり時代はパッシブじゃなくてデジタルクロスオーバー&アクティブだと思わせる説得力があるのだった。