2020年2月5日、アルフレックスジャパンがモルテーニの新作発表会を開催した。
アルフレックスジャパンがモルテーニブランドを扱い始めて10年。モルテーニ東京ショールーム開設5年。そして、一昨年12月にオープンしたダーダ東京(Dada)の旗艦店も丸一年を経た。
近年は、キッチンブランドであるDadaを加えたことにより、ソフトコントラクトすなわちインテリア提案を含めたビジネスが拡大。昨年は森ビル六本木のサービスアパートメント(家具付きレジデンス)をリニューアル。二コラ・ガリッツィアが23戸のキッチンを含むインテリアデザインを手がけた。また、積水ハウス グランメゾン大濠公園10戸に標準装備された収納とキッチンもニコラが手がけた。マンションも立地と価格といった建築条件のみならず、日々の暮らしに直結するインテリアが選択の重要な要素になっていることを示している。
モルテーニグループがクリエイティブ・ディレクターにヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンを招聘して、5年を迎える。その過程で鮮明になったのは、総合ブランド=モルテーニならではの世界観として、マテリアルミックスを実現してきたことにある。
これをソファ「グレゴル(GREGOR)」で見てみよう。本作は3タイプのシートワイドと25のバリエーションで構成するモジュールソファ。ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの手によるモルテーニの第4作目になるが、既存の「ポール(PAUL)」「ルーカス(LUCAS)」「アルベルト(ALBERT)」とは異なる特徴を備えている。
第一は、マテリアルミックスによる演出力。高さ67cmという低い重心、19cmのマット調で繊細なスチール脚、ソフトレザー貼りのベースが放つ異素材のコントラストが秀逸だ。
薄いパネルで構成される「ヒューベルト(HUBERT)」テーブルと組み合わせることでより一層建築的、理知的な印象が強調される。
二つ目は、様々な生活スタイルに対応する点。
シートがセパレートできるのに、境目がない不思議な構造。ボルスタークッションはテレビを観るのにちょうどよく、ヘッドレストが首をしっかり支えてくれる。
幅61cmのウィングアームは、テーブルの機能を持たせることもできるし、寝そべって首を載せるにもちょうどいい大きさになっている。
三つ目はいつでも美しい佇まいを保つ点。
マシュマロのような内部素材シュロラックスは、made in JapanのTEIJIN製。独自のウレタンを採用したシートクッションと相まって驚きの復元力をみせ、整合性の取れた美しいラインを維持してくれる。
四つ目は、いつまでも末永く使えるということ。
32のパーツで構成されているということは、裏を返せば、傷んだ部品のみを交換、メンテできることを意味する。もちろん、マンションなどへの搬入も容易だというメリットもある。
そのほかにも、伝統に囚われない新素材と新技術満載の製品が登場。
ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの手によるワードローブ「グリス マスター(GLISS MASTER)」。
30mmのフレームで構成し、壁面への固定が必要ないため、ガラス張りも可能。仕切り板がないことで、一覧性が高まった、というよりも、もはや収納でなくディスプレイ。トップグレードにはSYSTEMA7 Folding Pivot 180° Hinge Doorを用意(特許)。これは、上のみに蝶番がついた折り畳みのドアで、(1)片開きでは最大128cmのところ、この機構によって扉4枚分=256cmオープン可能となった、(2)天板に機構が内蔵されたので、通路(Passage)の扉としても活用できることにより、新しい住空間の可能性を示した。
つまり透過/非透過のパーテーションの役割も担うことで、パブリックとプライベートを絶妙に切り分けた住空間を創り上げることもできるというわけだ。
もはや家を固定するのではなく、上質な置き家具とコレクションを持って、様々な居住空間を求めて移動するのが上流の住まい方なのかもしれない。